「面白かった!」フレンズ もののけ島のナキ バカボンこあらさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった!
いろんなメッセージ性を感じて、すごく良かった。
・家族の定義として血縁とか種族とかじゃなくて、「親愛」があるかだと思った。
コタケとナキが一緒に暮らす中でも、人間ともののけという種族の違いを越えて、家族になっていた。それを踏まえると、家族って血縁がなきゃいけないわけじゃなくて、同じ種族じゃなきゃいけないわけじゃない。ただ家族のなかで、親愛の気持ちを持っているかだと思った。それさえあれば、家族って主張してもいいと思った。(個人的見解です。)
・排他主義のデメリットみたいなところを感じた。もののけが怖いものと恐れる人間と、人間の恐ろしさを怖がるもののけ。すれ違う両者は、互いに交流を避け、お互いを「悪」と見なし、歴史を紡いできた。
それはひとえに「平穏」を求めた結果だと思う。お互いを悪だと勝手に決めつけ、自分たちを守るため。そういう排他主義というか、決めつけで、社会は安定を手にする。だけどそれってきっと損にもなりうる。だって協力し合えて、より良い関係になりえるかもしれない、その可能性を潰してるから。
・「正義」というパフォーマンスに人は心動かされる。その犠牲によって社会は変わる。
グンジョーの演技のおかげで、ナキが人間を救ってくれたヒーローとして扱われ、もののけが「善」として受け入れられるようになった。
でも、それはきっとパフォーマンスがあったから。ただコタケがもののけの優しさを主張するだけでは、村人は納得しない。自分たちが見た、味わった経験からしか意見を変えないから。だから、グンジョーっていう犠牲のもとに、もののけと人間の絆、新たな歴史が作られた。これは今の社会でもおんなじ。人は皆、社会に無関心だ。なぜなら、自分が体験したことじゃないから。交通事故とか、差別とか、虐待とかいろんな問題があるけど、当事者とか関係者じゃないから、興味を持たないし、改善しようと思わない。誰かが犠牲になって、初めて「あ、そんな事件があったんだ、自分や周りの人の身に起きたら大変だ」って思う人が出てきて、社会が少しずつ変わり出す。社会が変わる上で、犠牲はあってしまうかもしれない。