劇場公開日 2011年9月17日

アンフェア the answer : インタビュー

2011年9月15日更新
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篠原涼子、4年ぶりに雪平夏見を演じた先に見据えるもの

篠原涼子が、「アンフェア the answer」で銀幕復帰を果たした。前作「アンフェア the movie」から4年。バツイチ、子持ちの敏腕刑事・雪平夏見が、クールな容貌はそのままに、より人間くささを内包して戻ってくる。そこには、前作の脚本を手がけ今回はメガホンをとった佐藤嗣麻子監督が万難を排して準備した、運命的と言っても過言ではないほどに完成度の高い脚本と、全幅の信頼を寄せる佐藤監督との強固な絆(きずな)が見え隠れする。(取材・文/編集部、写真/堀弥生)

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警察内部のクーデターともいえる警察病院占拠事件後、雪平は東京を追われ北海道・西紋別署で刑事を続けていた。今作は、そんな雪平に連続殺人の容疑がかかる衝撃的な展開から幕が開ける。「ネイルガン殺人」という猟奇的殺人事件がフックになってはいるが、警察の裏組織に関する機密情報が入ったUSBメモリをめぐり、雪平は警視庁内部、東京地検を巻き込んだ孤独な戦いを強いられる。

篠原は、今作の製作に際し「『また映画をやる企画があるんだけど、どうする?』と聞かれて……。どうするも何も、やりたいですねと即答しました」と述懐する。ただ、4年という短くはないブランクに関して、まったく不安がなかったわけではない。「観客の皆さんには雪平像が出来上がっているじゃないですか。『全然違うじゃないか』と幻滅されたらどうしようとか、そんな風に悩んでいたら脚本が出来上がってきたんです。私の悩みなんてすっ飛んじゃうくらいに面白くて、早くやりたいなという気持ちのほうが強くなりましたね」。

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それほどまでに篠原を心酔させた脚本だが、「今までの『アンフェア』とはちょっと違うなと感じました。心理的なものに比重を置いて作られているものだと思ったんです」。役づくりは、これまでよりも声のトーンを低くするなど、クールな印象を強めるだけで十分だった。というのも、「ドラマのころから嗣麻子さんの台本ってすごくしゃべりやすいんです。ニュアンスは変えたりするんですが、それを嗣麻子さんも承知のうえで書いてくださっているのかもしれませんね」と話す。今回にいたっては、「4年のブランクがあるのにちゃんと生きていて、台本にも助けてもらえました」と笑みを浮かべた。

さらに、佐藤監督の演出にも話は及ぶ。「ずばずば言うんですよ。それが私にはすっきりして爽快で、大好き。遠回しにオブラートに包んで言うっていうやり方もあるんでしょうが、私はここがいけない、こうしてほしい、と単刀直入に言ってくれたほうがやりやすいんです。またご一緒したいなと思わせられちゃう人柄なんですよ」。だからこそ、雪平の上司にあたる西紋別署の捜査一課長・一条道孝に扮する佐藤浩市とのラブシーンにも迷いはなかった。

篠原にとっては初のベッドシーンとなったが、佐藤監督と二人三脚で“何かが起こる”ことを予感させる内容に仕上がった。「嗣麻子さんの希望が、女性らしくやってほしい。女らしさを出すために弱くなってほしいというものだったんです。台本のラブシーンも、少し女性っぽい雰囲気が強かったんです。他の女性だったら話は別ですが、雪平のラブシーンがこういう形だと照れちゃうし、自分がリードするほうが良いのではないかと提案させてもらいました」。

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口で説明するよりも、実践して見せてしまうところが篠原の篠原たるゆえんかもしれない。「具体的にというので、ホテルに呼び出して実演してみせました。嗣麻子さんに浩市さん役をやってもらったり、一緒にいたヘアメイクさんと嗣麻子さんに実演してもらって、私が監督してみたりもしましたね。女性同士なんで、裸になってどのアングルがいいかと見せたりもしました。それもこれも、嗣麻子さんだったからこそ心が開けたんだと思います」。

佐藤監督に対する絶大なる信頼とともに、自らの今後の展望についても真摯(しんし)かつ貪欲な姿勢をのぞかせている。今年はこの後、三谷幸喜監督の最新作「ステキな金縛り」に出演しているが、出演全作品16本のうち主演を務めているのは「アンフェア」シリーズの2本のみ。「自分の中では自信をもっていい作品だと思っていますし、スタッフの皆さんも熱意をもってつくってくださった。今までが強いイメージの役が多かったので、これからは弱そうな人や幸薄そうな人もやってみたい。とにかく何でもやりたいんです。いろんな色に染まりたいですね。嗣麻子さんとはまたやりたいなあ。ご縁があれば、また声をかけていただきたいです。それに、映画の世界を知らない私なんかにしてみれば、いろんな監督さんやスタッフさんに刺激をもらって学んでいけたらいいですね。これからですよ、まだまだ」。

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