「「ポチっ」と、入ります」男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

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男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW

劇場公開日 2011年2月19日
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「ポチっ」と、入ります

「私たちの幸せな時間」などの作品で知られるソン・へソン監督が、日本版「ゴースト」で土いじりに興じていたソン・スンホンなどを主演に迎えて描く、アクションサスペンス作品。

誰にでも、耳にするだけで「ポチっ」と心のスイッチが入ってしまう言葉があるものだ。それは人によって様々であり、「キムチ」と聞いただけで韓国映画を観たくなったり、「なまはげ」と聞いただけで夜中の街を疾走したくなる人がいるかもしれない。私も、実はある。

「問答無用」

この言葉や雰囲気に、弱い。それまで身が入っていない映画や小説であっても、「ええい、問答無用!」なんて描写を耳にすれば、「やってしまえーい」と気持ちが高ぶる。言葉を越えた衝動、熱情に始まる決闘の世界には常に煌きがあると信じているからだろうか。

さて、本題である。香港ノワールの傑作を、舞台を韓国に移して改めて描き出す本作。裏組織の実力者と、それを追う警察組織という大きな二本の柱に、不器用に紡がれる一組の兄弟が辿る愛憎劇を絡ませ、単純に党争としてのバイオレンス作品に留まらない、哀愁と思慕、殺意が満ち満ちる壮大な人間賛歌へと高く、高く昇華させることに成功している。

舞台を韓国に置き換えることで、むせ返るような暑さと、雑多な世界観を滲ませる闇社会を的確に、よりリアルに活写できている点も、改めて今の時代に本作を発表しようとした作り手の確かな視点と時代感覚が成功した大きな収穫だろう。

脂の乗り切った韓国俳優陣のもつ色気、渋味を最大限に活かしきる事に全力が注がれ、取ってつけたような恋愛劇を無理に挟みこまない潔さも機能し、たっぷりと暴力の熱さ、美学を味わうという目的に特化した作りが嬉しい。

バイオレンスの軸となる銃撃描写を最小限に抑え込むことで個々の人物がもつ鬱憤、葛藤、殺意が熱せられ、熱せられ、蓋をされても熱せられ、最後の最期に「問答、無用!!」と放たれる衝撃、飛翔の銃撃戦。男たちの広い、悲しい背中から溢れ出す、言葉を飛び越えた殺意の爆発に、心のスイッチは入りっ放しである。

暗闇に醸し出される血霧の湿っぽさを生理的に受け付けられない方には薦められないが、イケメン俳優が全員野球で挑む枯れた男の一代記に触れ、是非とも一度錆び気味の心のやる気スイッチをぽーんと、弾いていただきたい。

ダックス奮闘{ふんとう}
さん / 2011年8月16日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  興奮 幸せ
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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