「復讐は何も産まない」悪魔を見た Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
復讐は何も産まない
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妻を冷酷な殺人鬼に惨殺された主人公が冷静ながらも確実な殺意を持った復讐心で犯人を追い詰めていく物語。韓国映画は緻密なストーリーと張り詰めた世界観、引き込まれる構成が折り重なった良作が多いが、本作はそこまでの強い魅力は無いかも知れない。というのも、ストーリーは単純そのものであるからだ。基本的には、主人公が犯人を追い詰める→逃げた先で女性を犯す→主人公に拷問される→逃げた先で女性を犯す→また痛めつけられるの繰り返しになるからだ。かなり痛めつけられるのだが、完全に狂った犯人はどんな深手を負おうと女性を犯す事しか考えていない。
少しは反省しろと言いたくなるが、感情が欠如した犯人は誰にも止められないのである。
また、行く先々でキチ○イの殺人鬼がいるのだが、そんなに韓国は異常な人間がいるのかと誤解を生むほどである。ややこれらの展開は非現実的過ぎて笑ってしまった。
結果的に復讐を果たすことが出来た主人公だが、最後に流した涙が表すものはただ一つ、復讐は何も産まないという事だ。それは主人公も分かっていたに違いないが、愛する人を奪われた時の怒りを通り越した感情でそうなってしまったのだろう。復讐を果たしたとしても、失った生活やその人は帰ってこず、ただただ虚しさが残るだけである。最後のシーンがそれを物語っているが、そのシーンは今までの残虐非道な物語を忘れる程心に響くものがあった。
韓国国内で一部上映禁止となった事がメディアでも報じられたが、グロさよりも女性の描き方がかなりキツく、確かに上映禁止になる理由も分からなくもない。それでも最後まで見入ってしまうのは映像作品としての完成度の高さからだろうか。
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