「生への渇望」127時間 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
生への渇望
思い出しては、震える。一回震えると、暫く震えが止まらない。
トンでもない体感映像。映像体験。
刮目。
127時間―その人生最大の試練、荒行、苦行、アクシデントが、目の前の“彼”に訪れてから、スクリーンから一瞬たりとも、1シークエンス足りたも、目が離せなかった。
離すのを許してくれなかった。
割にポップな演出、楽しげな楽曲。その手の効果が余計に状況の逼迫感を煽る。
不自然であるが故の現実逃避感。
どう生き延びる?どう脱出する?どう生きる?どう抜け出す?
それ以前に、そもそも…彼は助かるのか??
死からの手招き。時間は進む。死への歯車。
死への歯車をどう生へと転じさせるのか!?
そして…あの『決断』。あの『英断』。
あまりにも酷で、あまりにも非情。
しかし、だからこそ、あまりにも希望に満ちていた。
…ああ、そうだ。あそこだけ、あの『英断』にだけ、俺は目を背けてしまった。
とても罪深い。目を逸らしてはいけなかった。
生きる為の『決断』だったのに。
ああ、また震える。
凄まじく揺さぶられた感情体験。
荒療治な人生賛歌。
でも、それでも、だからこそ世界は美しいんですね。
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