「渋い戦車映画」レバノン 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
渋い戦車映画
映画の本編がほぼ戦車の中で、外の様子はスコープのようなもので覗く映像のみという大変ストイックな映画だった。レバノン戦争の開戦当日が舞台。
戦車の中は安全で安心なイメージがあったのだが、中は便器の中のように不衛生で狭苦しくとても居心地が悪そうで驚いた。また兵隊同士の雰囲気もとても悪く最悪だった。外の方がずっとましなように思えた。
指揮官も部下も未熟で、命令をぜんぜんきいてもらえず、規律がめちゃくちゃで、常に判断が遅く戦場での機能が低かった。外の人が時折訪れると、砲弾係を指揮官と勘違いするほどであった。
実際どうなのか分からないのだが、いくら未熟な指揮官とは言え、上官のいう事をまったきかないなんてことあり得るだろうか。また、階級章のようなものもないのだろうか。
スコープの動きがやたらと機敏で、あんなに素早く動くものなのだろうか。
戦車の中に、味方の死体や敵の捕虜を運び込まれるがそんなことは実際にあるのだろうか。
砲撃手が「命を奪うのは嫌だ」と言い出すのは非常に首をかしげる場面だった。
いろいろと疑問点はあるのだが、戦車の中の事なんて知らないので、そうだと言われれば納得するよりない。滅多に見ることのない戦車の中の様子が知れて面白かった。
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