嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんのレビュー・感想・評価
全3件を表示
そうやってしか生きられない二人
10年前、児童監禁事件に巻き込まれたまーちゃんとみーくん。
事件以来、みーくんはまーちゃんを守るためだけに生きてきた。
BGMとか背景とかが明るいし、みーくんの言葉遊びがコミカルで秀逸だからそれほど悲壮感もなくストーリーが進行していくんだけど、ときどき発作のように情緒不安定になるまーちゃんをみーくんが抱きしめるシーンとかは悲しくなってしまう。
明るいバージョンの白夜行みたいな感じ。
でも、実は事件の被害者はもう一人いた。
二人と同学年の、監禁犯の息子である。
10年前の事件の全貌が明らかになるにつれて、まーちゃんとみーくんの本当の関係性、みーくんの悲しすぎる「嘘」も明らかになっていく。
最後は「そうなるのかぁ〜」っていう感じの終わり方だったけど、でも事件の傷が深すぎて、そういうふうにすることでしか二人とも生きていけないし、常に自殺とスレスレのところにいる彼らに対して周りの大人もどうすることもできないんだろうなぁとも思った。
でもなんか、みーくんが空飛んだりほとんど不死身だったり、そういう非現実的な演出はあんまり好きじゃなかったかな。
染谷さん見るつもりが監督さんの猛アピールに負けた
「ヒミズ」で大注目の染谷将太さん主演作。
原作未読。
本作かなり思い切って大胆な表現をしてくれます。
かなり命を軽く見ている印象を与えてしまう演出が光ります。
子供のころ、誘拐監禁された少年少女のその後を描いているのだが、原作とはかなり違うらしい。
そういった重い話なんだけれども、主人公2人をただのバカにしか見えないようにしてます。
なかなか気合の入った監督さんです。
鈴木京香さんはそのバカ相手にさぶい演技をします。かなりここは残念です。
まーちゃんを演じた女優さんはかわいいんだけれど、かわいさと危うさを監督が上手く引き出せてないようです。
しかし良かった点もある。
染谷くんはうそぶきながら、本音をポロンとこぼす主人公を結構むかつく一歩手前の感じを上手に演じています。
これはホントです。
ろくでもない退屈映画。原作と同じなのはタイトルと基本設定だけ。
鑑賞直後なので、少々感情的になっていることをご了承いただきたい。
この映画は電撃文庫というライトノベルレーベルから出版されている小説の1巻が原作となっている。
自分はこの原作1巻を読み終わって数日後に劇場に見に行った。
結論から言えば、この映画は退屈で意味不明だ。
映画化に際し、様々な設定が増えたり減ったりすることはよくあることだが、本作の場合はその変更点が物語の根幹にまで及んでいて、ストーリーがねじ曲がっている。
10年前の殺人事件の結末や、その時のみーくんの母親(義母なのか、実母なのかは不明)のセリフ、上社奈月の立ち位置と何故か加えられた関西弁。
そして、今回の連続通り魔殺人の結末と'みーくん'の逮捕。
極めつけは、「まーちゃん」というワードの重要性を制作者側はわかっていない。
原作版は、重たい過去をみーくんの軽快すぎる語り口と、まーちゃんのエグいまでに現実離れした性格。
そこに比較的現実よりの坂下先生、なんでもお見通しのような上社奈月が絡んで進むはずの物語が、主要登場人物の性格が著しく変化しているばかりに、説得力がなくなってしまった。
言うべきセリフ、必要な行動、見せるべき真実が圧倒的に不足している。
逆に、言わせてはいけないセリフ、不要な演出がやたらと目につくし、ネタバレのタイミングが殺人的に悪い。
本来はもっとエグく、時には笑い、しかし全編を通して心躍り惹き付けられるストーリーが、あまりに稚拙で無様な脚本のために目を背けたくなる。
繊細で色々と暗く魅力的な内容が、大味で退屈なエセエンタメラブストーリーになってしまった。
みーくんが多用する「嘘だけど」というセリフ。
この映画自体が「嘘だけど」と言ってほしい。
全3件を表示