「弁髪のドニー・イェン」孫文の義士団 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
弁髪のドニー・イェン
革命とはどういうものか?4億人の国民を飢えから守るため、清朝を倒す!それには痛みを伴う・・・それが革命だ。てっきりドニー・イェンが主役なのかと思っていたら、そうでもなかった。エリック・ツァンがまたいいところで出演しているし・・・
ストーリーは辛亥革命の5年前、1906年の香港でのこと。革命家孫文が香港にやってくるというので、清朝の暗殺団から彼を守るため、スポンサーとなる商家のリー・ユータン、中国日報で新聞を刷るチェン・シャオバイらが中心となり孫文護衛作戦を立てる。
それぞれが自らの命を懸けて暗殺団や警官と戦うのですが、急遽孫文の影武者を立てることとなり、くじを引いたらユータンの息子が当ててしまった。影武者こそ死ぬ確率が最も高い役だけど、それを全うしようという17歳の青年だ。そこには親子の確執があるようにも見え、双方革命家として生涯を終えようとする男の姿があった。また、車夫のアスーが主人のユータンの親心によって写真館の娘と結婚させるという心意気。彼もまた革命に身を投じるのだが・・・
ドニー・イェン演ずる博打好き警官も妻に逃げられ、彼女がユータンのもとへと嫁いだという男女の物語に心打たれる。「現夫を守ってあげて」というショッキングな言葉。警官という立場も利用できたが、中ボスは狂ったような男・・・カンフーさえ通用しなさそう。最後に取った手段が馬に突進!もっとカッコよかったのは浮浪者みたいだったリウ・ユーバイ(レオン・ライ)。鉄の扇が武器だが、弁慶のラストみたいに刺されても切られても立ちつくす姿が勇ましかった。
影武者のグループなんてのは一種の捨て石みたいなもの。それでもしっかりと革命の一角を狙っているのだ。この痛みが後の国民のための礎となれば・・・と、よほど孫文を信じていたのだろうなぁ。革命の高揚感というより、行く末を知らずに死んでいった悲しき男たちの物語といったイメージでした。