ちいさな哲学者たちのレビュー・感想・評価
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幼児教育ドキュメンタリー
若者向けのワークショップではNHKでも放送されたマイケル・サンデルの白熱教室やジャレド・ダイアモンド先生の特別講義などがありましたね。普遍的な問題だけに大学生でも頭を痛めていたようです。教育は大事ですがせめて幼児期くらいは無邪気な天使でいて欲しい。
邦題は誇張しすぎでしょう、それはほんの始まりというのが原題です、赤ちゃんに毛の生えたような幼児相手に真面目に哲学を教えるとしたらとんでもない実験教育プログラムです。もっとも幼稚園児に教育勅語を唱和させる籠池学園の方が恐ろしいですが・・。
稀に洞察力に感心する答えもありましたが概ね子供たちは予想通りしどろもどろ、禅問答なら哲学的なのでしょうか、長じるにつれ年相応に家族や周りの大人たちの言動の影響を強く受けていることが伺えます、まさに子は親の鏡です。
否定しているわけではありません、哲学教育と大上段に構えるのが不自然と言いたいだけです。子供たちが身に着けたことは考えることと、考えを話すことと、大事なのは他の人の話を聞くことでしょう。コミュニケーションの大切さ、ディベートのルールなどの効用の方がはるかに大きいでしょう。教育と改まらなくとも絵本や映画の感想を親や友達と話すだけでも立派なケース・スタディです。それにしてもカメラ目線の子がいない撮り方はどうやったのでしょう、やらせでないのは子供たちの表情を観ればわかります。フランスは移民が多いので人種も多様です、やはり女の子の方がしっかりしているのは万国共通なのでしょうか。
不謹慎ながら、子供たちの困ったような表情も可愛いですね、もうそれだけで十分です。
個人に大人もこどもも関係ない
こどもは大人の言うことをきいていればいい、 こどもは考える力がない、なんてハズはない。 こどもも大人もみんな一人一人思考するけど、それを言葉にしないと伝わらない。自分が考えることは他者と違う。それでいい。 そんな当たり前のことをこどもたちに教え、大人たちに思い出させてくれるドキュメンタリー。 家族で話す機会はなかなかない(なかった)生や死や愛や友情などの抽象的かつ重要なことがらとともに、私たちはみんな違うがみんな同じだと教えてくれるいい授業だった。
哲学と道徳教育との違い
個人評価:3.9 3才から5才の子供たち。偏見がなく、またある意味では偏見の塊のような彼等。そんな子供達が哲学について考えるなんて、とても興味深い題材のドキュメンタリー。 わたしの小学生時代は、道徳の授業が週1回だけ設けられており、現代の日本では、道徳がさらに教科としての位置付けに考えられている。他者とどう向き合うべきかの道徳と比べ、哲学は自身とどう向き合うべきかの学問であると感じ、日本教育との差が見受けられ興味深い。 本作の子供達は、その無防備な脳に哲学をぶつけられ、今まで動いていなかった別の脳の回路が転がる様に動き出し、自身のコトバで物事を考え判断する様になっていく。素晴らしい授業だと思うし、大人達も教えられる事が多々ある作品だ。
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