奇跡のレビュー・感想・評価
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痛いくらい純粋な子供たちと何かを失った大人たち
奇跡を信じる子供たちと、それと対比されるかのように描かれる大人たち。でも、みんな愛おしくて、不思議と胸が締め付けられる。きっとあの頃には戻れないけれども、今を歩いて行こうと思える作品。
そして樹木希林さんとその孫の伽羅さんの存在感。もちろん主演の前田前田の二人も良い。かんなちゃんは可愛い。ほかのキャストも出番は少ないがいい味を出している。
樹木希林さんご冥福をお祈りします。
離婚は子供にも悲しい影響を与える。
『奇跡』(2011)
上映当時、子供の兄弟漫才で人気のあった、「まえだまえだ」が映画出演という触れ込みがあったように追想するが、九州が舞台ではあるが、東日本大震災の年の映画である。これを2018年に観るわけだが、子供は特にこの7年は大きい。10歳が17歳になる。現在のそれぞれの「まえだ」がどういう感じなのか、調べないし把握していないが、7年は大きい。出演している橋本環奈なんかは大変化なのだろう。今年は広島や岡山や四国など西日本の広域な雨の災害が起きた。どうも2011年という年では、大震災を意図してしまう。そして、監督は是枝裕和。今年は『万引き家族』でカンヌの映画祭の最高の賞を得た。2011年は、これが上映されていた。タイトルはえらく映画にしても物語にしては、根本的な、たくさんありそうな言葉のそのもののタイトルである。『万引き家族』の影響ではないし、まだ観ていないのだが、是枝作品はこのところ、『海よりもまだ深く』と『そして父になる』を観たばかりである。それらもそうだが、家族の不安定がテーマだったりして、これも、両親の離婚から、兄弟が鹿児島と福岡で離ればなれになる。クランクインが東日本大震災発生より早かったのかも知れない。上映は6月にしている。もっと具体的には私の誕生日だったみたいで、大震災後すぐの誕生日がどうだったのかは今もう思い出せもしないが、鹿児島の桜島の噴火について兄がこだわっていて、東日本から北日本へは、上映当時は災害について語るシーンはちょっとどうだっただろうか。『あん』も観たはずだが、本木雅弘の娘が出演しているのは、思い出せない。これも調べた後なのでなんとなくわかった。是枝はドキュメンタリー映画も随分撮影したらしいが、子供のセリフのシーンが、一人一人が、ドキュメンタリーの問いかけられた後のような撮影の方法なのは一体どういう意図なのか。意図も別にないのかどうか。兄のほうが、母親の実家に戻ったのか、鹿児島で、祖父が橋爪功が演じ、祖父が樹木希林なわけか。本木雅弘の娘は樹木希林の孫でもある。弟は父親と一緒に福岡県にいる。子供たちは両親のよりを戻したいと思っている。両親はオダギリジョーと大塚寧々が演じている。メインはなんだか電車がすれ違う時の願い事が叶うとかで、兄弟それぞれ友達たちと学校をうまく早退して、その遂行なのか。子供たちが家出して冒険するような話になるが、警官に見つかるのに、老夫婦の大きな家で、本木雅弘の娘が孫だというと、老夫婦もそれに応じてしまうという、危険性のある話でもあるが、それで返されずに冒険は続く。九州に新幹線が走るという背景があったのか。それにしても、願いをかなえるための冒険の発端が、両親の離婚というのは悲しい。しかもここに複雑な心理があるが、兄弟とも、四人一緒に再び暮らせますようにと願わずに、別れる。離婚は子供たちにとっても悲しむべきことだ。
希望
鹿児島と福岡ではなればなれに暮らす兄弟が、九州新幹線の開通で、最初に新幹線が交差するのを見ると奇跡がおきる、というのを聞いてそれぞれの願いを叶えるために、中間地点で落ち合って…というストーリー。
前みたいに家族4人で暮らせるように、という願いを、万博の太陽の塔でのピクニックやら、短いシーンでも、どれだけ幸せだったか伝わるような演技、じーんときた。
演技というより兄弟の自然体ロードムービーに、くるりの音楽が重なって、
ずっとなかだるみもせず最初から最後まで見られた。
特になにか大きいことがおこるわけではなく、最後にどんでん返しがあるわけでもないけど、見終わってから自分の大切なものや人に会いたくなる映画というか、
はなればなれでも家族ってあるよなって思わせる映画。
まえだまえだのの2人がものすごく良かったけど、脇を固める若い橋本環奈や平祐奈、大御所俳優の人々、そんでうだつの上がらない役をやらせたら天下一品のオダギリジョー、配役が文句のつけどころがない感じ。
DVD買って、元気がない時に見返したいなと思える作品でした。
鹿児島と福岡の子どもたちが熊本でおちあう冒険譚。 主人公まえだまえ...
鹿児島と福岡の子どもたちが熊本でおちあう冒険譚。
主人公まえだまえだの現在の姿が脳裏に浮かび、素直に見ることの邪魔をした。そのせいか前半はかなり冗長に感じた。冒険が始まるまでが長いのだ。
冒険部分は楽しかった。こっそり後押ししてくれる大人たちがいたことが嬉しかった。保健の先生、最高!あと、関係無いのに泊めてくれた老夫婦の優しさに涙。今のガチガチの世の中、こんな冒険できないだろうな。今の子どもはかわいそうだ。
ばっと出会った子どもたちが次の日にはもう仲良し。子どもっていいな、そんな時代に戻りたくなった。
有名俳優たちはほぼ活躍しません。特に長澤まさみと阿部寛の無駄遣いっぷりはある意味爽快(笑)安定のダメおやじ、オダジョーが良かった。橋本環奈、やはり存在感あり。
まえだまえだの起用したのは正解! ちょっと控えめで用意周到な兄と好...
奇跡
物語が弱いし新幹線のおまけ感が強い
総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
場面場面の演出の質や登場人物の描き方はいいが、それらを積み重ねても1つのしっかりとした全体の流れが出来ていない。結局のところ、物語の大枠の筋道が描かれていない。枝葉を丁寧に描いてはいても、木全体の姿を描くという視点が弱い。物語としての流れが平凡で、作品一本を観たときの満足度が削がれている。この作品に限らず、どうも是枝監督はそのような傾向があるように思える。
それに九州新幹線開業に合わせた作品らしいが、新幹線の話が家族の話に無理やり入れられている印象があり、作品に溶け込んでいない。九州新幹線を映画で宣伝したいという意図が企画としてあったようだが、それも失敗している。
まえだまえだの少年期
家族観の一面性を突く
「そして父になる」では、あまりの父親目線への偏りと子供の存在の希薄さに違和感を覚えたものだが、この作品の徹底的な子供目線での作り方に触れて、バランスが取れた感じがする。是枝が撮ってきた子供を題材にした作品に対置されるのが「そして父になる」なのではないか。
両親の離婚によって二つに分かれてしまった家族。大人の身勝手がこのような状況を生み出すことと、そのことで子供が不幸になるという決めつけも大人の身勝手でしかないということを、この映画は我々大人に突き付けてくる。
働きの良くない夫に見切りをつけて鹿児島の実家へ戻った大塚寧々の母親と、アルバイトで食いつなぎながら好きなバンド活動を続ける福岡のオダギリジョーの父親。
二人の子供を抱えていながら定職に就かず、音楽に熱中している父親というものは、確かに他人からは褒められる存在ではないかもしれない。しかし、そんな父親と暮らす次男は、自分の親が求めているものを明確に知っており、自分の暮らしがどのように定められているのかを理解している。
一方の長男は、バラバラになった家族をもう一度もとへ戻すことを願ってやまない。自分の置かれている状況を受け入れることを拒否していることは、噴火している桜島のそばに何故人々が暮らすのか「意味が分からない」という、何度もでてくるこのセリフに象徴されている。
同じ状況に陥りながらも、その状況を肯定的に受け入れている次男と、それを拒み原状復帰を望む長男。子供にとって、どちらも自分が生きる世界そのものなのだ。
かるかんの味を「ぼんやり」と表すか、「ほんのり」と表すのか。同じ感覚を持っていても、どのように表現するかで印象は異なる。長芋と砂糖の素朴で柔らかな甘味を表現するボキャブラリーを通じて、物事を語るときの人間の限界を示唆している。映画はこのように、我々の認識がどれほど一面的に過ぎないものかを語りかけてくる。
奇跡だと思った
上映が始まって間もなく映画館で見た。
震災の後だった。まだ震災後の悲しみからみんな抜けきれず、先行きの不安でいっぱいだったような気がする。
そのタイミングでこの作品を見て、本当に奇跡だと思った。
なぜそう思ったか、詳細には覚えてないのだけれど、震災前にこの映画が撮られたことに対してだったと思う。
つまり、そこには普遍的なものが描かれていた。日々の美しさや、子供たちのことや、日常のことなど。
悲しみで忘れていた色々を、この作品は思い出させてくれたのだとおもう。
何をたよりに生きていくか、そのような問いをあの時期多くの人が問われていたと思う。その中で私は、これだ、確かにこれだった、というものをこの映画の中に見た気がする。
そんな作品に出会えた奇跡だと思った。
淡々と
尊い
是枝監督が 九州新幹線で映画撮りません? というオファーを最初は渋りつつ作り上げだというこの映画
個人的には 大人は考えない事の方が多い というかおとなには色々見えすぎて考えるのが面倒になってくる なぜこの都合の悪い世界はこうも美しいのか という事を子供の視点を通して描かれた驚異的傑作だと思う
この 奇跡 というタイトルの通り、大筋としては子供たちがある奇跡の為に冒険をするロードムービーなんだけど、個人的にはこの映画の出来事の何を奇跡と捉えるかというところが凄くポイントだった
この映画でそれこそ奇跡のように一番美しく取られてるのは間違いなく新幹線がすれ違う瞬間に航一が見る 世界の姿の断片だったけど、この映画で奇跡として捉えられているのはあのシーンに象徴される 子供が 成長していく姿だった 変わる ではなく 成長 であるところが味噌だと思う
大人が子供の話をするとついつい無邪気さとか、ピュアさがクローズアップされがちだけど、この映画ではその純白さではなくて、そこに色が付くまさにその瞬間をこそ最も尊いものとして描いているのが本当に素晴らしい
こういうスタンドバイミー的な映画って沢山あるけどそのジャンルの中でもこの映画は飛び抜けた傑作だと思う
個人的には実写邦画の中では一番のお気に入り映画
成長
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