劇場公開日 2011年6月11日

「 交通費を捻出するため奮闘する子供たち。どこで新幹線がすれ違うかと...」奇跡 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 交通費を捻出するため奮闘する子供たち。どこで新幹線がすれ違うかと...

2019年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 交通費を捻出するため奮闘する子供たち。どこで新幹線がすれ違うかと研究したり、もちろん親には内緒なので、学校を早退するにはどうするかといった相談をする姿が微笑ましい。計画自体が頓挫するかと思えば、かなり決意が固い子供たち。朝一番の列車を見に行くのだから、泊まることまで考えなければならないのに、そこだけは行き当たりばったり。警官に質問されながらも、女優になりたい恵美が機転を効かせて、ある老夫婦(高橋長英、りりィ)の家に孫だと偽りたどり着いたのだ。このくだりがとてもいい!泊まった子どもたちはまるで修学旅行のようにはしゃぎまくりだったけど、老夫婦にとってはこれが奇跡だとも言えるくらいの嬉しい出来事だったのだ。高架ばかりの新幹線を見るためのトンネルの上まで送ってくれるほど優しかった。

 奇跡なんて起こったら、ハリウッド映画と変わりない。是枝監督の真骨頂、台本なしの素の演技とベテラン俳優の確かな演技を絡み合わせ、時折見せるドキュメンタリー・タッチの演出によってリアル感を増しているのだ。すれ違う瞬間、願いを“せかい”に変えてしまった航一だったが、これもまた面白い。そして龍之介は父親が音楽で成功することを願ったおかげで、帰宅したとき幸せな表情を見れた。彼らが帰宅の途についたとき、子どもだった頃にした冒険のようなものを思い出すほどノスタルジックな作品。

 お笑いコンビのまえだまえだもなかなかの演技だったけど、一番光ってたのは内田伽羅。本木雅弘と内田也哉子の娘なのだ。しかも実祖母の樹木希林も出演している。彼女の女優になるという夢がこの映画で叶ったんだな~

kossy