「ひたすら渋い、いぶし銀の味わい」ラスト・ターゲット スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
ひたすら渋い、いぶし銀の味わい
いぶし銀な味わい光る作品だったような、退屈な作品だったような、何とも微妙な線の作品ではありましたが、私はどちらかと言えばいぶし銀な味わいと感じ取れた方でしたかね。
まあアクション映画のような邦題のせいで途中まではちょっと盛り上がり度が少なすぎないか?と思いながら見てましたけど、渋みのある殺し屋を演じたジョージ・クルーニーの好演も相まって、終わってみれば哀愁とダンディズム溢れる作風に、いつの間にか嵌ってましたよ。
どちらかと言えばカッコイイ+茶目っ気たっぷりなキャラを演じることの多いクルーニーですが、ただただ渋いこう言う役も案外似合いますね。
とりあえず冒頭、スウェーデンのシーンは掴みはOKって感じで、まあ全体的に説明的なものがほとんどない映画ではありましたが、あのシーンでジョージ・クルーニーが演じた主人公ジャックが凄腕の殺し屋であることが分かる、何とも緊張感溢れるシーンに、いきなり心掴まされました。
逆にこれは面白そうな「アクション映画」になりそうだと期待を煽るようなシーンでもあったので、その後の静かなる展開は賛否両論と言った感じになってしまったでしょうか。
でも作品の大多数を占めたイタリアの山岳地帯に位置する田舎町での潜伏生活は、説明はないし静かでなかなかコトが進まなく退屈と言えば退屈なのですが、だからこそいつ狙われるか分からない緊張感もあって、これはこれで見応えがありました。
そんな孤独感を癒すような娼婦クララと過ごす時間も、一時の安らぎと言った感じで、まあ結末は何となく匂わせつつも、ホッとさせられる一幕で良かったですね。
娼婦クララと言い、銃製作の依頼人である美女マチルダと言い、作風に合ったセクシー美女で、思わず目が釘付けになってしまいましたよ!
しかし殺し屋の宿命とも言えるような、ラストへ向かう切なさたっぷりな終盤の展開は、クライムサスペンスとしても、ラブストーリーとしても見応えあって、最後の余韻も含めて嫌いじゃない展開だったなぁ。
ただ、ジャックが狙われるのも妙に納得、行動がアレですから・・・でも、人の温もりが欲しくなる、それもよく分かるような気はして、感情移入はさせられた作品でした。
とりあえず、田舎で外国人は目立つ、田舎あるあるですよね。