阪急電車 片道15分の奇跡のレビュー・感想・評価
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ある意味古き懐かしき・・・・・・
現実と映画のギャップが大きくて
芝居がうるさい、音楽、映像
共感出来ない部分が大きいと、酷評になる。
どれだけ上手に騙す事が出来るか、と言うのも作品の決め手になるとは思うが、この作品は人を選ぶようだ。
毎日の不満に納得出来ず、重なる事がある人にとっては胸のすく作品だろうし、宮本信子が好きな人からは相変わらずご健在で、と言った印象か。
細部までのリアリティには欠けていても、どーんと観客の心をつかんでしまったら勝ちなのだろう。恐らく。
自分としては重なる部分が幾つもあった為、たとえ筋が見え見えでもスーッとする所が多かった。
女子高生の発言にイラついたりもしたが、現実には恋愛のやり取りで嘘(下心)や駆け引きがあるのは当たり前になっているから、ホテルまで来て彼女を抱かない男を批判する気持ちも分かるが、単純に〇カップルと呼ばれる人間ならありえそうな気もした。典型的なキャラクターを見てしまった事に腹が立ったのかも知れないが。
事実が余りにも非現実的なら、受け取り手の持つ常識の範囲の解答しか認められないので嘘だと思われるのではないかと。
女性が主役の定番の勧善懲悪の映画と思えば楽しめるのでは。しかしこのキャストに印籠突き付けられたら腹が立つ方も多いようで。
気持ちいい余韻、そばに置いておきたい作品でした
電車は走るよ 色んな人を乗せて
兵庫県宝塚市の宝塚駅から西宮市の今津駅を結ぶ阪急今津線の8駅。
片道僅か15分の電車内で起こる悲喜こもごものエピソード。
たまたま同じ電車に乗り合わせた、それぞれ思いや悩みを抱える人々。
ちょっとした出会いやささやかな善意が、お互いの人生に明るい影響を与え合う。
ストーリーや作風は確かに心地良いが…
中谷美紀演じるアラサーOLがリアリティ無さ過ぎ。
後輩に彼氏を寝取られ、その結婚式に純白のドレスで現れるトンデモな性格だが、本当は孤独で繊細で、宮本信子演じる老女に慰められ号泣、吹っ切れる。そして自分もまた孤独な小学生の女の子の支えになる。
コロコロ変わる人物像が何だか漫画チック。
その宮本信子演じる老女も、「眉山」の役柄と変わり映えせず、ありきたり。
関西のオバチャン=うるさい、という発想も乏しい。
自衛隊オタクの大学生と野草好きの女子大生、進路に悩む女子高生などメイン軸以外のエピソードは良かっただけに、残念。
戸田恵梨香の可愛さも良かったけど(笑)
映画の評判はイイようだが、残念ながら僕は人生の機微を味わえなかった。
おばあちゃんの解決事件簿
阪急にはあんなオバちゃんおらんよー
人生の機微とでもいいますか
映画「阪急電車 片道15分の奇跡」(三宅喜重監督)から。
登場人物は、皆いろいろな想い・気持ちを抱えて生きている。
そんな彼、彼女らが「阪急電車」を仲介して出会い、
何か吹っ切れたように、元気になっていく。
「プロローグ」と「エピローグ」に映し出される顔を比べると、
その違いがはっきり確認できた。
今回の一言は物語のラストシーン。
婚約中の恋人を後輩社員に奪われたアラサーOL役・中谷美紀さんと
恋人のDVに悩む女子大生役・戸田恵梨香さんの会話。
存在は気になっていたものの、最後まで会話をしなかった2人が
会うべき場所、会うべきタイミングで交わす台詞こそ、
この作品の伝えたかったことなのかな、とメモをした。
「人生の機微とでもいいますか、そんなようなもの味わってまして」
「あら、実は私も電車降りたところで、人生の機微を味わっておりました」
わざわざ「機微」という単語が私のアンテナに引っ掛かるように。(笑)
「機微」とは「表面だけでは知ることのできない、微妙なおもむきや事情」
さらに「人生の機微」と「人情の機微」という使い方があるらしい。
ネットによると「人生の機微」とは
「何時とは知れづ訪れる、人生における微妙な成り行き」
それに対して「人情の機微」とは
「わざとらしくなく、後でそれと気づくような、かすかに表れる言動によって、
感じる優しさや人の情けが織りなす、心の触れ合い」
(そう考えると、今回の場合「人情の機微」の方が正しいのかも・・)
そして最後に、ふたりはこんな会話をする。
「なんていうかさぁ、悪くないよね、この世界も」「はい、悪くないです」
映画のキャッチコピー「終着駅は、きっと笑顔。」を実感するように。
くだらない
くだらない。予想できるありきたりな展開。
リアルな日常と見せかけて、
いかにも日本のドラマ的な、リアリティの欠片も無い登場人物ばかりで萎える。
女子高生の彼女とホテルに行って手を出さない現実でありえないオカマ彼氏と、抱いてと迫る女子高生、アホらしいwwww
日本の女はこんな展開に感動してるから、現実ではDV男みたいな変な男ばかり引くんだよw
悪役と良い人役にわざとらしくライン引き過ぎなんだよ、日本映画は。世の中そんなに単純じゃないから。
誰が見てもわかりやすい様に作ろうとするからこんな駄作連発しちゃうんでしょうな。
10代20代の日本のドラマ大好きな女性向け作品ですかね。
しかし平均点が高いなあ、あてにならんからやめてほしいわ。もともと目が肥えてる人はこんな邦画観ないから点数高いのも仕方ないのか。
温まるけど…
レビューを少し見てから、観賞しました。
やっぱり原作とはけっこう変わってました。
そこが少し残念。
原作にはいたもう1組のカップルが好きだったので…
でもこれはこれで満足です。
関西の方だけに‥
‥‥‥自分の町や見慣れた景色が映画になれば‥嬉しかろ~ヽ('ー`)ノ~
だが‥
九州在住(と関東圏歴)の俺には‥
イマイチ全てが‥ピンと来ないヽ('ー'#)/
(※電車内で‥
喋って良いのは関西だけだし‥)
◆◇◆◇◆◇◆◇
踏まえて‥
二点目述べたいが‥↓↓↓
こちらに原作が有るらしいけど‥
こりゃ【ガールズムービー全開】で‥男には‥
いや‥
漢にはウンザリな一本/‥かも?です。
◇男が悪/女はいつも被害者⇔みたいな描き方は‥マジ止めて欲しいンよね~ヽ('ー`)ノ~
‥‥‥ツマらん男に足開いた女の自業自得やろがい(`曲´#)
☆評は‥
DVD100円水準にて‥(^-^)
DVD買う度⇒④★★★★
モ、1回見たい度⇒③☆☆☆
オススメ度⇒①♪
デートで見る度⇒⑤◎◎◎◎◎
観る相方o(^o^)o】漢は見ない事(・ω・)ノ
‥ただ腹立つだけ!
観た後の電車】やっぱり阪急電車?
てか‥
私鉄なら代替でナンデモ良いかも~ヽ('ー`)ノ~
(東九州には私鉄が無い!)
■谷村美月さんの演技は流石だ(*'-^)-☆
そして‥
■戸田さんの美脚と小尻は素敵過ぎるぞ♪
■宮本信子さんとあしまなは圧巻(^-^)
‥‥‥何度途中で消そうと思ったか(-"-;)?
あと‥
関西弁萌え└|∵|┐♪┌|∵|┘
違和感がないのがいい
ドラマだなーって
一人一人にドラマがあるんだろーなーって感じました。見ず知らずの車内隣人は何のドラマを持っているのだろう(^^)
あんな風に話せたり、巡り会えるのは奇跡なんだろけど、そんな巡り合わせに会いたいなぁ・・・
同じ電車に乗ってるような感じ
原作本は読んでなかったのですが、映画を見終わって原作を読みたくなりました。阪急には大阪に行った時何度も乗ってるので、まるで自分も同じ電車にいるかのうように楽しめました。群像劇も自然な感じで描かれていたのも素晴らしい。
原作の雰囲気そのままに、原作以上のシーンもあり^^
ホント、原作一部変っていたけど、
雰囲気はそのままで良くなっていたところもあった!
一番のサプライズは、大好きな役者さんが次々に
登場をしてきたことかな!!
〈 年齢と考え方は関係ないのよ 〉
〈 自分の意志で涙を止められる女性になりなさい 〉
■キャストに驚き!!
実は、中谷美紀さん、戸田恵梨香さん、宮本信子さん、
このお三方以外、誰が出演しているか知らなかったんです。
だから、いつも小説を読むときは、それぞれの登場人物に、
俳優さんを当てはめて、頭の中で、表情・口調・間を想像しながら読む、
わたしにとって、ストーリー以外のもう一つの楽しみは、あの登場人物は
どなたが演じられているんだろう?それを確かめたかったのもあったのです。
オープニングから次々に好きな役者さんが・・・
・鈴木亮平さん(兵庫県)『ふたたび』(10)
・芦田愛菜ちゃん(兵庫県)『告白』(10)
・大杉漣さん『(出演作多し)』
・谷村美月さん(大阪府)『ボックス!』(10)
・勝地涼さん『幸福な食卓』(07)
・南果歩さん(兵庫県)『(出演作多し)』
・森田涼花さん(京都府)『侍戦隊シンケンジャー』(10)
・黒川芽衣さん『色即じぇねれいしょん』(10)
・相武紗季さん(兵庫県)『ゴールデン・スランバー』(10)
・玉山鉄二さん(京都府)『ハゲタカ』(09)
なんと、出演を知らなかった好きな俳優さんが、
10名も登場してきたのだからたまりません!!
特に、芦田愛菜ちゃんと、勝地涼さんは、
本を読んでいたときに、頭の中で当てはめていた
役者さんそのままでしたので、スクリーンで姿を
見たときは喜び倍増!驚き炸裂!!でございました。
もう、何度、スクリーンを見ながら、
両手で口を押えて、前のめりになってしまったことか!
わたしのうしろに座っていた人、わたしの体があまりにも、
前に行ったり後に行ったりしていたとも思いますので、、、
挙動不審&大丈夫か!この人は??
きっと戸惑わせてしまったでしょう。
すみませんでした、この場をお借りしてお詫びさせて頂きます。
■映画全体
阪急電車、今津線が舞台です。
〈注目点1〉
先ほど挙げた俳優さんの出身地も書いたとおり、
関西弁がネイティブな言葉になりますので違和感ゼロ。
〈注目点2〉
・読売テレビ(日本テレビ系列)
・関西テレビ(フジテレビ系列)
関西民放キー局が製作委員会に相乗りしています。
おそらくキー局が相乗りした作品は、これが初めてでは?
〈注目点3〉
阪急電車、撮影のために、
特別電車を走らせまくる気合の入れよう!
宝塚歌劇団のかたも出演されています。
ただ、原作には触れられていた仁川駅の
阪神競馬場についてはノータッチでした。
ここは、曜日感覚を重視したのかな?と解釈しました。
〈注目点4〉
エンドロールも見てください!
エンディング曲、こちらも大阪府出身aikoさん。
この曲もいいのですが、
メインはテロップの後ろに流れる映像。
阪神・淡路大震災で被災されたかたの
メッセージオブジェが映し出されます。
これは、東日本大震災で被災された方への
メッセージにもなっていると思います。
原作では、このオブジェが、
真剣な話と、笑いを誘うキーになっていたのですが、
今作では、その部分を割愛し、あえてエンドロールに
持ってくることで、その言葉の意味と言葉の底力を、
鑑賞している人に、もう一度考えてもらいたい!
そんな位置づけにしているように感じられました。
映し出される時間は、長くはありませんので、
見逃さないように、気をつけてください。
〈注目点5〉
キャスティングはビンゴしまくり!!
誰一人、外れている人はいません。
一番あっていたのは
宮本信子さん芦田愛菜ちゃんペアかな。
どうやるんだろ?
物凄く楽しみにしていたシーンが
終盤にあるのですが、期待を上回る掛け合いを魅せてくれました。
ここが唯一、映画館全体から笑いが起きたシーンでした。
(わたしと右斜め後ろの男性は、他のシーンでも笑いっぱなし(苦笑))
★彡 ★彡
原作で人目を気にして必死に笑いをこらえるほど
ツボにはまったシーンがあったのですが、そこは、
残念ながら、笑いをつかめず流れてしまっていました。
逆に、中谷美紀さんと小学生の女の子のシーンは、
原作では、あまり刺さらなかったのですが、映画では
グサッと突き刺さり、感涙をしてしまいました。
脚本が岡田惠和さん、
監督が初映画監督とはいえ
『白い春』(09)『僕の生きる道』(03)で
演出を手掛けていた三宅喜重さんですから、
そりゃ、面白くもなりますよね(納得!!)。
一緒に見るお客様次第では、
最初から最後まで笑いっぱなしになるかもしれません。
文句なしの5点満点でございます!
あっ、ストーリーにほとんど触れてない(苦笑)
“心地良い”とはこの映画のためにある言葉
説明臭くなく、丁寧にストーリーが編まれており、分かりやすくてただただ作品の雰囲気に身を委ねたくなる。そして紆余曲折はありながらも、最終的には自然と微笑みを浮かべてしまう、そんな映画です。
実は、鑑賞後に原作を読みました。驚いたことに、映画の方が分かりやすくて面白くて充実しているという、映画人生30年近くで初めての出会いを経験しました。
演出・脚本が素晴らしいということでしょう。もう一度見たい作品です。
出演者では、戸田恵梨香がお気に入りです。最初のシーンではそれと気付けなかったくらい、うまくキャラクターの雰囲気をまとっていました。そして電車内での出来事を経て、彼女にとって大きな決意を固めるシーン・・・「良し、決めた!」という強い想いが伝わってきました。
(それに、ホットパンツ姿が非常に魅力的でもありました。ゴージャス♪)
中谷美紀、南果歩なども、それぞれ楽しませてもらいました。
ただ、宮本信子演じる老婦人だけはどうなの?という感じ。
髪型等からすると、おそらく70代以上の設定を目指したのかと思いますが、動きや雰囲気がどう高く見積もっても60代前半の若々しさ。画面に現れるたびにギャップを押し付けられるためどうにも素直には受け入れられませんでした。
彼女が絡むストーリーも良かっただけに、残念な部分です。
これが無ければ、4.5点にしたのですが。
阪急電車も良いですね!
映画の舞台は、阪急今津線.....
宝塚-宝塚南口-逆瀬川-小林-仁川-甲東園-門戸厄神-西宮北口
この間、僅か15分.....。
そんな短い区間に様々な事情を抱えた女性たちが、小さな奇跡によって出会い絡みあって立ち直っていく.....随所で涙なくして見れない場面もあり、ほんわかした良い映画でした....。
心が病んでいる時.....見たい一本です。
中谷美紀......婚約中の恋人を後輩社員に奪われたOL・・・最後はかっこよかった!
南果歩......素朴なお母さん役も素晴らしかったです。
宮本信子.....煩いおばちゃん軍団・・・どう解決するかと思ってましたが、びしっと一発!....スッキリしました!
谷村美月......田舎の素朴な娘さん・・・・おにいちゃんの花火に続いてよかったてす!
勝地涼....幸福の食卓では勉学君・・・・いつも爽やかが良いですね!
芦田愛菜......可愛いね!映画全体が和みますね!
大杉漣.....チョイ役過ぎぃ~・・・・勿体ない!
でも、存在感抜群です!
奇跡?
「片道15分の奇跡」という副題に、期待しすぎてしまった部分がありました。
本編では不運や不幸にあった阪急電車を利用する女性たちが何かの形で出会っていましたが、これを奇跡というには言いすぎな気がします。
見終わってみて、
「奇跡起こった?」
と一番に思いました。
「片道15分の出会い」とかならわかるけど、
どの辺がどう「ミラクル」なのかはわかりません。
すごく心が温まるいい内容なのに、タイトルと中身の悪い意味でのギャップを感じました。
「ちょうど良い映画」
片道云うてるけど、おもいっきり往復している
数々の女性達の人間模様が電車内にてどう交わり、悩みが解消されるのか?という物語を世代を超えた女の嬌と度胸で魅せていき面白かった。
ただ、『マグノリア』『バベル』同様、ボリューム満点の群像劇が故に、途中でどうしても疲れて、集中力が途切れる。
特にラブホテルとワラビのくだりは確実に蛇足やと思う。
女性主体の今作において、男性が舵を握る貴重な話だが、明らかに要らない。
そもそもサブタイには《片道》言うてるが、おもいっきり往復してるし…。
阪急の駅員ならば、
「エピソードの詰め込み乗車は御遠慮ください」と小一時間、アナウンスしたくなる心境と云えよう。
では最後に短歌を一首。
『溜め息や 線路揺られし 旅の機微(キビ) 女の愚痴は 犬も喰わへん』
by全竜
劇場で、嘘くさ~いとダメだししながら、じわ~りと涙をたっぷりお流しくださいませませ。
宝塚~西宮北口間を約15分で走る、
えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。
その電車に、さまざまな“愛”に悩み、
やりきれない気持ちを抱えながら、
偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた
まずは、プロローグが記録的に長いのです。主要登場人物が各駅ごと1名ずつ八駅八名。登場するごとに人物紹介していくので、全員紹介し終わるまでに30分もかかりました。 こんな展開で、どう収束するのか気になりましたが、関西テレビの社員監督さんは、見事に8名が絡んでいく話を紡ぎ上げ、感動のラストを作り上げたのです。
こういう主人公が複数のオムニバス的な作品は、今までいいと思ったことがありませんでした。『いぬのえいが2』は単なる羅列だし、洋画の『ニューヨーク、アイラブユー』では、各エピソードの終わりの登場人物が、次の話にちょこっと登場するだけで、どれも話として物足りなさを感じてしまっていたからです。
本作もパスしていましたが、マイミクさんの熱心なお勧めで、劇場で見てきました。そんなに深い話ではないのですが、こう~じわぁぁぁっと心の琴線にふれてくる登場人物の演技に次第に涙腺が緩んでしまい、涙があふれて止まらなくなってしまいました。
作品レビューの多くは、電車の中で乗客同士がこんなに濃く混じり合うなんて、嘘くさいとの酷評が蔓延しています。しかし、一つ一つのエピソードは、あり得ない話ではありません。それを2時間のドラマに凝縮してしまうと、嘘くさく感じててしまうのも無理ではありません。でもでも、そんな嘘くささを超えて、宮本信子や中谷美紀の名演技に引き込まれ、思わず映画の虚構の世界で感動してしまったのでした。
ホントに長ーいプロローグのあと、語られる中谷美紀のナレーション。とても素敵でした。
「こんなにたくさんの人々の中で生きていても、名前も知らない人たちは私の人生に何の影響ももたらさないし、私の人生も誰にもなんの影響も与えない。世界なんてそうやって成り立っているんだ………そう思っていた。」
映像は、道行く数多くの群衆のなかで、中谷演ずる高瀬翔子が孤立し、観客に語りかけるスタイルです。沢山の人に囲まれて暮らす都会に住む刹那を淡々と語りかけてくるのでした。しかし、そんな翔子の心を癒すかのように、映画は偶然に乗り合わせた乗客たちが、少しずつ影響し合い、運命を変えていく様子を描きます。まるで仏教で言う、人と人とは仏性で無意識に繋がっているのだということを、分かりやすく語りかけるかのように。
都会で暮らしていると、隣の人の顔さえ知らないのが普通です。でも、その見ず知らずの人が、落ち込んでいる人や困っている人を、突如労ってくれたら、どんなに救いになることでしょうか。たとえ嘘くさくても、こんな話があったらいいなぁと思わせてくれるところに、まぁ涙が滲み出てくる秘密があるのでしょうか。
いい話は、いっぱい出てきます。なかでも名演技なのは宮本信子演じる萩原時江。原作でも神かがっていましたが、超能力として思えないくらいの洞察力で、中谷美紀演じる翔子の事情を見抜いて、悩みを聞き出そうとします。翔子は、ほぼウェディングドレスと見まごう衣装で、婚約者を略奪された腹いせに、結婚式へ「討ち入り」に参加した帰りでした。事情を聞いた時江は、ひと言「いい気味」と言ってのけます。そして「気の済むまで怨みなさい。それまで同じ職場に居続けなさい。」とも。
人生の機微も重ねた風格のある時江の言葉だから、重みを感じます。まして「あなたの思ったとおりで、いいのよ」と思いもかけない言葉を、赤の他人から言われると、どんなに自分が救われるものでしょうか。往々にして知人からは、「復讐なんか止めて、諦めるべきだ」と言われるのがオチですもんね。そんな言葉なんかよりかわですよ!
ああ!文字数の制約で触れられないのが残念至極。でも、このやりとりに先立つ、時江と天才子役の芦田愛菜演じる孫の亜美との、「なぜ犬を飼うことができないの」というやりとりも絶妙でした。
時江によって気づかされた翔子は、恩返しをするかのように、電車や駅で出会った人を助けていきます。ひとりの人が、ささやかでも幸福のタマゴを産み落としていくと、ピーヒーと幸福のヒヨコが孵っていき、周りのひとの心も幸福に染めていくのですね。
そして、時江に勧められて小林駅で途中下車した、翔子は人の息づかいが漂う街の魅力に惹かれていきます。このシーンを見ていると、婚約者を寝取られた恨み心では、絶対にこの街の素晴らしさを感じ取ることなんて難しかっただろうと思うのです。でも時江のひと言で、くるりと人生観を変えてしまった翔子にとって、駅に飾られた子供の絵を見ただけでも幸福感がこみ編み上げてくるのでした。幸福な感じって、与えられるのを待ってても、悲しいことばかり続くもんですね。翔子のように、自分から小さな幸福に気付いていかないと、人はずっと幸福になれないものなのかもしれないなぁ~と感じさせられるシーンでした。
その翔子が、恋人から暴力を受けている戸田恵梨香演じるミサと関わるところや、同級生からいじめに遭っている少女と関わるところも、じわ~と泣けてくる名場面が続きます。
その他に、女子高生の悦子から、恋人の竜太がエッチに誘われたとき、一見アホキャラの竜太が毅然と「お前にとって最高にいいと言える日にしたいんだ」と、きっぱり撥ね付ける台詞にもグッときましたね。
谷村美月が演じる女子大生の美帆と勝地涼が演じる同じ学校の圭一は、それぞれ学友がどん引きするくらいの野草オタクに軍事オタク。そんなオタク同士の純朴な好奇心が寄り添う姿は、可笑しくもあり、なかなか素敵です。特に美月ちゃん、可愛いですぅ~(^^ゞ
こんなふたりのクリスマスの夜のエピソードは、微笑ましく思えました。友人から美帆へ贈られてきたプレゼントの中身は、何とコンドーム。ふたりは赤面しつつも、神妙な面持ちで、圭一がせっかくだからそれを使わない?と切り出します。すると、これまた恐る恐る正座に組み替えた美帆が、御直をしながら、よろしくお願いしますと神妙に答えるところが、何とも二人らしいなぁと笑えました。
ちょっとシリアスになりかねないこんなシーンも、『のだめカンタービレ』のような感情をアニメで表現するした映像が加わるので、一段とユーモラスに伝わってくる洒脱さがこの作品の持ち味でしょう。
最後に人助けばかりの印象の強かった時江でしたが、そんな時江も電車の中で出会いが用意されています。きっと孫の亜美と共に、ヤッタね!と思わず心の中でVサインしてしまうことでしょう。
往路は10月の設定で8駅8話で伏線を張り、春になる3月の復路8駅8話で完璧に伏線を回収する形式のお話。全部をご紹介できないのがとても残念です。あとは劇場で、「嘘くさ~い!」とダメだししながら、じわ~りと涙をたっぷりお流しくださいませませ。
エンドロールには、劇中に登場しなかったシーンも登場。その意味するものにご注目を!
追伸
スタッフ・出演者の殆どが阪急電車沿線ないし、居住体験のある人ばかりが選ばれています。そんなこだわりが画面から滲み出ていましたね。愛菜ちゃんも西宮市出身です!
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