ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人のレビュー・感想・評価
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【ハーブ&ドロシー夫妻が慎ましい生活の中、多くの無名の芸術家から買い集めた多数のミニマルアートを愛でる姿と寄贈する理由が素晴しい。お二人のお顔の表情が、豊かである事が印象的な作品でもある。】
ー 老齢のアート界に衝撃を与えた素人ミニマルアート収集家夫妻・ハーブ&ドロシーの仲の良さそうな事。そして、小さなアパートメントに収蔵、掲示されていた2000点以上のアート作品の寄贈の理由に唸ったドキュメンタリー作品。ー
■郵便局員のハーブと図書館司書のドロシー夫妻は、
1.自分たちの給料で買える値段であること
2.1LDKのアパートに収まるサイズであること
を基準に、2000点以上もの現代アート作品を収集してきた。
◆感想
・2人が無名作家たちと会話しながら買い求めたミニマルアートについて語る時の嬉しそうな顔。
・そんな二人が、2000点もの収集品を売れば、可なりのお金になるのに、寄贈する理由が良い。寄贈先はナショナル・アートギャラリー。
理由は、ナショナル・アートギャラリーは美術品を”売らないから。”
ー 昔、日本の大企業の名誉会長が、ゴッホとルノワールの2作品を244億円で買い、”死んだら棺桶に入れてくれ。”と言った事を思い出す。
あれは、日本人としては恥ずかしかったなあ。-
<アートコレクターと言うと、大金持ちのする事と思っていたが、その概念を気持ちよく粉砕してくれたドキュメンタリー映画。
ハーブ&ドロシーさんのお顔の表情が、豊かである事が印象的な作品でもある。>
とてもよかった
アートに親しむ心に強い憧れがあるのだが、全く関心が持てない。この映画の夫婦はとてもピュアな気持ちでアートに接していて心洗われる。俺なら絶対にどこかのタイミングで売ってお金にしてしまうだろう。作品や作家のどこが気に入ったのかもうちょっと掘り下げて欲しかった。
ひたすら美を追求した貧乏な美術収集の巨人
総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
ミューラー・グッゲンハイム・大原孫三郎といった、美術が好きで収集しているのはたいていお金持ちである。高価な美術品を買い保存するのは通常はお金がないと出来ないことだから当然である。
だがこの夫婦は低所得者でありながら美術に没頭して画廊と芸術家を訪問し、自分の審美眼だけで優れた近代美術を見極め、まだ世間に認められ高騰する前に買い集めて自分のアパートを美術品でいっぱいにした。投資のためではなく、ただただ好きで集めたトラック数台分におよぶ彼らの莫大な価値のある膨大な量の美術品は、今はアメリカの美術館に保存される。現在では近代美術界における有名人となった2人の、ひたすら純粋に自らの内側から湧き出る美を追求する姿勢が伝わってくる。
その記録映像は真実であるために、美術が好きな私には見応えがあった。映像の撮り方にも時々芸術性があって楽しめた。もっと芸術家に接近しどうやって信頼を得たり価格交渉をするのかについての描写があれば良かったが、それは繊細な部分であるのでやむを得ないのだろう。価格についての話は一切なかった。
貪欲な姿には感動すら覚える
上映終了後に監督による緊急挨拶有り。その際に、「2人はニューヨークアート界に咲く一輪の花」と表現する。
地位や名誉。果ては投資目的等は一切無く。ただひたすらに現代アートの収集に情熱を注ぐ、ハーブとドロシーの似た者夫婦。
作品を買う基準は、自分達の住む小さなアパートに入る大きさ。それが自分達の払える一万円程度と安い上に、何よりも欲しくなる位「好きだから!」と分かり易い。
作品を喰い入る様に見つめるハーブと、夫の後ろで一歩引きながら冷静に作品を見つめるドロシー。アーティストとのコミュニケーションを密に取り。且つ他のコレクターとの決定的な違いは、作品が変化して行くアーティストの成長過程を見極め様とする。更にコレクションを自分の手足の様に、身体の一部として切っても切り離せない存在の如くに愛おしむ。その情熱と、良い作品を見抜く審美眼に他ならない。そこが単なる投資目的のコレクターとは一線を異にする。
だからこそアーティスト達も2人を信頼して安い予算で作品を提供する。
その膨大なコレクション自体が、やがて2人を生きた現代アートの伝説として賞賛する。しかしそれでも2人は全く変わらない。飾らず・驕らず・ただ淡々とコレクションを増やし続ける。
最終的にコレクション自体がどうなったのか?…は映画を観て貰うと解りますが、「パソコンは要らない!」と言っていたドロシーが、最後自分に送られて来るEメールもコレクションしようとする、その貪欲な姿には色々な意味で感動してしまう。
何よりも2人がとってもキュートだ。
(2010年11月14日【シアター】イメージフォーラム/シアター2)
鍵は信頼関係とぶれないポリシー
NYの普通の夫婦(郵便局員と司書)が自分たちの収入の範囲でモダンアートを30年間コツコツ集め続けたら、ワシントンの国立美術館が一館では収蔵しきれないほどすごいコレクションになったという実話ドキュメンタリー。美術好き必見。鍵は信頼関係とぶれないポリシー
コレクター夫妻の軌跡。
アートに造詣が深い訳ではないが、そんな人にもウケるほどの
素敵なコレクターご夫婦の物語。
いわゆるアート収集家の一般人なのだが、現代アートに寄せる
その想い、情熱、執念は凄まじいもので、それが収集へ繋がる。
元・郵便局員の夫ハーブと、元・司書の妻ドロシーの30年間。
自分達の好きなアートを収集していたら1DKのアパートには
なんと4,000点を越える作品が溜まってしまい、もう入らない。
そこで美術館に寄贈するところまでをインタビューを交え描く。
監督はニューヨーク在住で、
これが初監督作品の日本人女性ジャーナリスト、佐々木芽生。
まったく存じ上げなかったアート界の巨人を日本人が紹介すると
いう稀有な作品でありながら、分かり易く個性豊かに魅せている。
(大豪邸じゃないところがお見事。コレクターって案外そうだよね)
ロングラン上映になったのも納得できる、心温まる作品でした
良い作品というか、
ハーブとドロシーと、
周りのアーティストさんの
人柄に胸をうたれたなぁ♪
エンドロール中に席を立つ人、
1人もいなかった映画って、超久々じゃないかなぁ(笑顔)
※心に残ったセリフ
〈 理解が出来るまで、理解出来るように努力してみる 〉
〈 アーティストの思考を、理解する 〉
〈 自分の好きなことを、他人に押しつけてはいけないと思っていた 〉
〈 コレクションへの情熱自体が“アート” 〉
アートへの情熱と愛情。
わたしもおふたりのように
映画に接してゆきたいな、と心がしびれました。
画商をハシゴするところなんて、
大変おこがましい話ではありますが、
「時間が迫っている、やばいやばい」と
映画館をハシゴしている自分の姿が重なり、
思わずニヤリと笑ってしまいました。
なにかが、大好きな人って、
みなさん、行動は似てくるのかなって(苦笑)
ただ、このおふたりが
人として素晴らしいな、と感じられたのは、
コレクションは、あくまで自分たちのためと、
それを創ったアーティストを応援するためだけであったこと。
決して、アートにバブルが訪れたときも
売ろうとはせず、あくまで自分たちの趣味(楽しみ)として収集していたこと。
お二人が住んでいるアパートは
1DKの小さなお部屋ですから、
当然、飾れないアートは数え切れないほどあります。
しかし、ハーブは、
「私の頭の中に描かれている」と
ごくごく自然な当たり前の表情でサラッと言い切ってしまう。
こんな収集家に自分の作品を
買ってもらえるアーティストも幸せなのではないでしょうか。
創るほうも幸せ
買うほうも幸せ
まさに幸せの好循環が
そこには生まれておりました(笑顔)
★彡 ★彡
良い作品を見ると、
影響を受けやすい、単純なわたし。
映画終了後、
普段は素通りする
露天商が売っていた商品を
しげしげと見つめてしまいました。
でも、財布の紐が
硬いままなのが、さすが小心者のわたしだな(苦笑)
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