「愛菜ちゃん可愛い!」うさぎドロップ セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)
愛菜ちゃん可愛い!
子育ての大変さについて老若男女問わず身近な問題として気負わずに考えられる映画だと思いました。
ダイキチが本当にいい奴でした。バリバリのサラリーマンであった彼が6歳のりんを引き取る事となり、突如、保育園やおねしょ・迷子等のトラブルに悪戦苦闘しながらもりんとの絆を深めていく姿が感動的でした。
特におねしょのエピソードが印象的です。普通だったら、自分のベッドにおねしょされたら、怒り狂ってしまいそうですが、ダイキチは怒る事なく、りんの気持ちに寄り添って一緒に解決しようとしており、親の鏡のようだと思いました。
会社でも仕事も出来て、それなりのキャリアも積んでいたのに、りんの為にそれらを捨てて、別の畑違いの部署に異動しています。実の父親よりも父親らしい勇気ある行動だと思いましたが、それと同時に、社会がまだ子育て世代の実情に対応出来ていない事も痛感しました。
「私がどれだけ犠牲になってきたと思ってるの!」と言う風吹ジュンの言葉も胸が痛みます。これは、出産や育児の為に自分のこれまでのキャリアを捨てなければならなかった女性達の叫びだと思います。
ダイバーシティとか、女性活用とか男性の育児参加等が言われて久しいですが、果たしてこれらがどこまで浸透してきているのでしょうか?一部の先進的な企業や地域では積極的に取り入れているかもしれませんが、まだまだこれからという所も多いのではないでしょうか?
そんな状況の中、子育てする事の大変さ。特に一人親家庭の厳しさ。等について考えさせられます。「不安になったり、怖くなったりするのは当たり前。一人で頑張ろうとしなくていいんだよ。」というメッセージも伝わります。
コロナ禍の今、ますます厳しい状況に追いやられている人がいる。一人ひとりがそういった事を意識し、配慮し合い、助け合える社会に近づけるよう行動したいです。