「知的障害者の兄を持つ弟と地下アイドルのデリヘリ嬢の話。」ロストパラダイス・イン・トーキョー aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)
知的障害者の兄を持つ弟と地下アイドルのデリヘリ嬢の話。
東京で電話セールスのマンション販売会社に勤めていた弟幹生は、田舎の父の死で父と暮らしていた知的障害の兄実生を引き取って、タワーマンションに見下ろされた安アパートに引っ越した。
兄が外へ出ないように厳重に南京錠をして、まわりにも障害のある兄のことは隠している。
ただ不憫な兄のためにデリヘリ嬢を呼んだ。やってきたマリンは、アキハバラの地下アイドル。
たまにライブハウスに出るものの、路上で歌って踊ったりプログをしてたりの自称アイドル。年齢不詳で(彼らたちよりも上か)化粧もケバくて、ちょっとイタい。
なぜか、兄と仲良くなり、部屋に出入りするようになる。
兄の生活をかき乱すようなマリンを快く思わない幹生だったが、しだいに三人の共同生活を受け入れていく。
知的障害者の性欲処理や昔、兄が起こした事件などシリアスな問題を扱いながらも、紐をつけた亀をいつも持ち歩き、目を離すとどこにでも記号のような落書きをはじめる兄実生がコミカルでファンタジーのようでもあって、いい感じになっている。
お金を貯めるマリンの夢が南の島を買うという現実離れした危ういことだったり、風俗嬢と知的障害者の性欲処理を撮影しようとする映像作家が絡んできたり、シリアスで残酷なバッドエンドになってしまうのか危惧したけれど、少しだけハッピーエンドで終われてよかった。
弟幹生役の小林且弥は、西島秀俊や妻夫木聡に似てて、マリン役の内田 慈は一瞬熊田曜子に見えることもある。
またセリフのない知的障害の兄役をウダタカキがうまく演じてる。
Vシネなどの助監督を50本もやってきた監督の白石和禰のデビュー作。
その人脈からか、存在感ある役で奥田瑛二も出てる。
東京 ポレポレ東中野(レイトショー20:30)〜10/8まで。
名古屋シネマスコーレにて。10/16〜10/22まで(予定)
大阪第七芸術劇場にて。11月上映予定。