ロストパラダイス・イン・トーキョーのレビュー・感想・評価
全12件を表示
Fala Island
地下アイドルと風俗嬢。マンションとアイランド。人生の半分を兄のために使い夢を持てない青年、幹生、そもそも夢が何なのかも分からない実生。しっかりした夢を持つマリン、FALA。
今の世の中、夢を持つことさえ許されない状況だと思うけど、親から、社会から夢を押しつけられているのが現状かとも思うけど、どん底にあっても夢を持ちさえすれば光明は見える。
少女にいたずらした経緯。社会的制裁は受けてないけど、一人の少女の夢を奪っていたかもしれない。彼女の実家を訪ねたとき、そのことに気づいたかもしれない実生。外に出たときの開放感が彼をそう変えたような気もした。
白石和彌監督のデビュー作だということでアマプラで視聴。奥田瑛二がゲスト参加するだけで締まった作品にもなっていた。ドキュメンタリー制作会社もいい味付けになっていて、かつては自殺者をそのまま撮ってしまったことから脱却したい様子だったけど、今回も失敗して、次なる夢を追うんだろうなぁ。
電話中心でマンションの受注を受けるブラックな会社。20代の時にそんな小さな会社(マンションじゃないけど)の面接を受けたことあるけど、採用されたものの断ってしまったよ・・・あぁ懐かしい。
低評価にまどわされないで
私の感想に比べてここでの採点の点数が低いので気になって投稿します。白石監督の作品をあまり見ていない人たちからの低い評価が多いのかと予想していましたが、そうでもないようです。白石作品を見ている人たちの中にも低い点数の人たちがいるので、映画の感想は人それぞれだなと感じました。私にとってはあまりなじみのない役者さんたちが主な役をやっていますが、それでも映画の世界に引き込まれてしまいました。ビデオで見たので点数が甘くなっているのかもしれませんが、ここでの評価を見て、この映画を見逃してしまう人がいるとしたら、それはもったいないです。自分の目で見てから評価を決めてください。
東京の片隅で
白石和彌監督の視点はデビューの時から全く変わっていないですね。人間を面白おかしく晒し者にしない優しさがある。劇中に出てきたドキュメンタリー作家の様に、強烈な内容の方がインパクトがあって大衆受けはするかもしれませんが、下品だし時代遅れですよね。それに女性の描写が気持ち悪くない日本では稀有な男性監督です(ここ本当に強調します)。本作でもマリンの背景やセックスシーン含めて女性が見せたくない部分を心情も含めて理解してますよね。無闇矢鱈に裸を晒したり女性が観ていて辛くなるエロさの作品を撮らない監督なので、安心して鑑賞できます。
希望は残しつつ
イメージは暗いながらも起こりそうな嫌な場面もなく、会社の上司やドキュメンタリー班とのイザコザが少し、奥田瑛二の独りよがり。
兄を挟んで孤独な二人の恋愛物語にはならず、ボートを漕いで車に轢かれ再会が果たされるのか、ラストは清々しいようで不穏な雰囲気を残しながら、少しの希望はあるような。
無名だろうが知名度があろうが作品の良し悪しに関係はないような、山田孝之や綾野剛に松坂桃李、佐藤健など人気俳優で撮っていたら地味なイメージよりも話題に評価も上々、これが白石和彌の初期衝動にしてはおとなし過ぎるのだろう。
白石和彌監督の長編第一回作品
ブラック企業に勤める主人公(小林且弥)は、性欲旺盛な知的障碍者の兄と暮らしている。
ある日、兄のためにデリヘル嬢(内田慈)を呼び、仲が良くなる。
このデリヘル嬢は地下アイドルもやっており、いずれ島を持つことが夢だった。
独特の空気感が面白い。
浮遊する女たち
『雌猫たち』もそうだったが、白石監督は男より女が上手い監督だと思う。都会の道をキックボードで登場する内田滋を観て、この作り手は帰る家もなくモラトリアムを彷徨う女たちを本当に愛しているのだと思った。
行動含めたドキュメンタリー会社の人達のリアリティとか、結末のどうしようもない甘さとか、気になる所は多くあるが。会社を辞めて自称地下アイドルをやりながら風俗嬢をやっている馬鹿だけど憎めない女の在り方から社会の閉塞感を醸し出すという部分は良いと思う。
白石和彌らしさは無い
個人評価:2.7
斬れ味の無い錆びたナイフで弱々しく切りつけたような作品。
この演技では2時間が恐ろしく長く感じ、とりとめのない脚本がさらに拍車をかける。
後の白石和彌の片鱗は全く感じさせない作品。
ん〜〜
私には何も響かなかったし面白くなかった....
ただ障害者さんを持つ家族の人は本当に色々大変だなと....
こーゆー映画のレビューは言葉を選ぶから書きづらい
ただ、お兄ちゃんのラクガキはセンスがあると思う
人間の本質とは…
白石和彌監督のデビュー作ということで、前から気になっていました。
やはり、彼の作品はただそれだけのエピソードでは終わりませんでした。
知的障害者の性処理を扱う映画なんてどうなんだろうって最初は思ったのですが、これ、たぶん現実にあり得る社会問題だと思うんです。今まで障害者の兄を世話していた親が突然なくなり、その後兄弟が面倒をみないといけないってこと、そして、障害者の性処理の問題。
このデリヘルの女の子は最初はただの仕事として関わっていたのが、少しずつ彼を理解して、寄り添ってあげるという心の変化があったのです。
それによって、さねお・みきおの兄弟の気持ちにも変化があったんですね。それぞれが何かしらの負の部分を持っている彼ら3人が一緒にいることで、さねおを自分の父がしてたように、ただ人様に迷惑をかけないようにと家に閉じ込めてただけの生活から、もっと世の中には楽しめることがたくさんあるってことを実感できたんです。
みきおは今まで兄の気持ちなんて考えたことがなかったのに、ただ表現の仕方を知らないだけで、美味しいや嬉しいや好きって気持ちがちゃんとあったんです。
最後、亡くなったんじゃないかと思ってた兄が手漕ぎボートで海を渡ってる姿を見たみきお。
さねおはアイランドにどうしても行きたかったんです。彼は自分のしたいことをやらずにはいられないのです。さねお、やるな!って温かい気持ちになりました。ただの薄っぺらな障害者の性を扱った作品ではないので、最後までしっかり見てほしいです。
知的障害者の兄を持つ弟と地下アイドルのデリヘリ嬢の話。
東京で電話セールスのマンション販売会社に勤めていた弟幹生は、田舎の父の死で父と暮らしていた知的障害の兄実生を引き取って、タワーマンションに見下ろされた安アパートに引っ越した。
兄が外へ出ないように厳重に南京錠をして、まわりにも障害のある兄のことは隠している。
ただ不憫な兄のためにデリヘリ嬢を呼んだ。やってきたマリンは、アキハバラの地下アイドル。
たまにライブハウスに出るものの、路上で歌って踊ったりプログをしてたりの自称アイドル。年齢不詳で(彼らたちよりも上か)化粧もケバくて、ちょっとイタい。
なぜか、兄と仲良くなり、部屋に出入りするようになる。
兄の生活をかき乱すようなマリンを快く思わない幹生だったが、しだいに三人の共同生活を受け入れていく。
知的障害者の性欲処理や昔、兄が起こした事件などシリアスな問題を扱いながらも、紐をつけた亀をいつも持ち歩き、目を離すとどこにでも記号のような落書きをはじめる兄実生がコミカルでファンタジーのようでもあって、いい感じになっている。
お金を貯めるマリンの夢が南の島を買うという現実離れした危ういことだったり、風俗嬢と知的障害者の性欲処理を撮影しようとする映像作家が絡んできたり、シリアスで残酷なバッドエンドになってしまうのか危惧したけれど、少しだけハッピーエンドで終われてよかった。
弟幹生役の小林且弥は、西島秀俊や妻夫木聡に似てて、マリン役の内田 慈は一瞬熊田曜子に見えることもある。
またセリフのない知的障害の兄役をウダタカキがうまく演じてる。
Vシネなどの助監督を50本もやってきた監督の白石和禰のデビュー作。
その人脈からか、存在感ある役で奥田瑛二も出てる。
東京 ポレポレ東中野(レイトショー20:30)〜10/8まで。
名古屋シネマスコーレにて。10/16〜10/22まで(予定)
大阪第七芸術劇場にて。11月上映予定。
全12件を表示