「ハラハラドキドキ」[リミット] ringoさんの映画レビュー(感想・評価)
ハラハラドキドキ
ちょっと興味があった作品。いつも行く映画館で、超大作ではない作品を2週間程度の短期間だけ上映することがたまにあって、運良く観ることができました。
画面に一度も『LIMIT』と出てこないのであとで調べたら、原題は『BURIED』です。つまり埋められちゃった、ということ。
イラクで物資輸送トラックの運転手をしていたアメリカ人が突然襲われ、木の箱(要は棺おけ)に入れられ埋められてしまったところから話が始まります。その箱の中には、ライターとか携帯電話とか、ごくわずかなものがあって、でも徐々に酸素がなくなっていきます。さあ彼は助かるんだろうか?というストーリー。
いわゆるワン・シチュエーションものというのかな、作品の舞台は全てその箱の中。ということは、登場人物も事実上閉じ込められたアメリカ人ひとりだけ。携帯電話でやり取りする何人かの相手は声だけの出演。映像として登場するのは、携帯電話で送られてくる映像の中の人物のみ。…とても安上がりに作られています(^^;)。
観ている最中は、最初から最後まで飽きることなく、ハラハラドキドキすることができました。あの状況で飽きさせないのは、やっぱり演出がうまいのでしょう。まあ、いきなり箱の中から始まるので、彼の素性やなぜ箱の中にいるのかということなど謎だらけ。それが徐々にわかっていくだけでもそれなりの時間を費やすし、後半は彼が助かるのかどうか?ということでドキドキするのですが、何しろ箱の中なので、次に何が起こるのか観客にも予想ができません。なるほど、うまく出来ています。
ただ、後で冷静に考えると、基本的には携帯電話でやり取りする会話が話の展開を支えている作品なんですね。身動きの取れない人が携帯電話で救援を呼ぶのであれば、誘拐された人でも遭難した人でもいいわけで、イラクであることや箱に入れられて埋められていることは、実はあまり作品の肝ではないような感じもします。もちろん、この作品ではイラクで起こりそうなことが取り入れられて入るのですが、中東情勢云々の社会的なメッセージがあるような感じでもないし…。まあその辺がちょっと不明瞭な感じがしました。
まあでも、一度観てみる価値はあると思います。