「あの「激突!」以来!! 映画の原点を見せてくれた」[リミット] マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
あの「激突!」以来!! 映画の原点を見せてくれた
最初の1分ほど、何も見えない真っ暗闇。ここから棺という狭い空間だけのサスペンスが始まる。最初から最後まで、写るのは実質、ここに閉じ込められた男ただひとり。狭い空間で外界とコンタクトできる手段は携帯だけ。犯人の顔も分からなければ、助けを求める電話もたらい回しにされる。犯人は一方的に電話で要求を突きつけ、そして一方的に電話を切る。
死に直面する恐怖、得体の知れない敵、理不尽で手も足も出ないむなしさ。
これは、スピルバーグの出世作「激突!」(デニス・ウィーバー主演、日本劇場公開1971)そのものだ。
「激突!」はハイウエイ時代を反映し、今作はテロと小型端末がはびこる時代の違いこそあれ、限られた空間で正体不明の男に追い詰められる恐怖を描いてみせる手腕はなかなかのもの。ツッコミどころをものともしないところも似ている。
SFがよくやるような捻りが効いたラストに唸る。最後の最後まで気が抜けない見事な出来映え。
ただ、バンジョーで始まる軽快なエンディング・テーマには拍子抜けする。
過呼吸気味になった観客をリラックスさせてから帰そうという思いやりか?
サンドラ・ブロックと共演した「あなたは私の婿になる」(09)でのスマートな風貌とはガラリと変わったライアン・レイノルズ。たった1畳の舞台による90分の一人芝居で観客をスクリーンに釘付けにする。
p.s. この作品ほど、スタッフ・キャストなどの基本情報が乏しい作品も珍しい。おまけに情報源によって人名の読みが違うは、製作国や上映時間までバラバラだ。
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