「優しい人は戦場カメラマンにならぬ事!家族を愛する優しさゆえに戦場を撮るこの矛盾の苦悩」毎日かあさん Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
優しい人は戦場カメラマンにならぬ事!家族を愛する優しさゆえに戦場を撮るこの矛盾の苦悩
キョンキョンこと小泉今日子と永瀬正敏が破局寸前の夫婦役を演じるこの映画って、俳優同志の私生活の破局とだぶり中々、このすれ違いの感じは、演技なのか?それとも過去の彼らの1部分の再現なのか観ていて、気が散ってしまった感じが有る。
頭では勿論、芝居で、演じている事は充分解るのだが、この配役が私は観ていて気になりどうも馴染めなかった。そして馴染めない要因のもう一つの理由にこの映画が公開される少し前に『酔いがさめたら、うちに帰ろう』を観ていて、その映画が気にいっていたので、この『毎日かあさん』を観る事で、『酔いがさめたら、うちに帰ろう』のイメージがもしも崩れてしまったらどうしよう?と気になり、中々、この映画を観る機会がないままでいた。
結局は好みの問題になってしまうのかも知れないが、同じ人物の家庭を描く群像劇として観ると、『酔いがさめたら、うちに帰ろう』は漫画家の西原さんの目線ではなく、夫で亡くなった戦場カメラマンの鴨志田氏の目線で描いているが、私は『酔いがさめたら、うちに帰ろう』の方が、観ていてやはり安心して観ていられた。
私は残念だが、西原理恵子さんの漫画の読者ではないし、原作本も読んでいないために、どちらの映画に描かれている家庭の様子が現実の西原さんの家庭に近いのかは解らないのだが、『毎日かあさん』の西原さんはキャラが強すぎて、これでは、家庭の中が安らぐ事が少ないのではあるまいか?と戦場カメラマンである実際のカメラマンである亡くなった鴨志田氏は、報道カメラマンとしての、戦場カメラマンと言うよりは、芸術家して、人間の内面をファインダーを通して描こうとしていた、その優しく繊細な、性格な故に戦場での体験がトラウマとなり、あだとなって、酒に苦しみのはけ口を求め、彷徨い、ついには酒に飲まれる生活へと転落してしまうのだろうけれど、この作品を観る限りでは、本当は優しい西原さんなのだろうけれども、一家を一人で背負っていますと言うもの凄いキャラ丸出しで、家庭の、妻の優しさに心の拠り所を得られずに、転落人生を余議なくされていってしまう男のようで、途中、戦場で体験した記憶のフラッシュバックに苦しんでいる様が中々生きてこない気がして残念でならなかった。
こんなきつい家庭の中に、娘がひたすら父親を慕い続けるそのシーンどれだけ救われたか!お兄ちゃんは、少しだけ芝居っぽくって不自然で気になって観ていたが、キャストは小泉今日子初め、永瀬正敏、正司照枝と実力派揃いで良いのだが、中々主人公の西原さんに感情移入する事が出来ない作品だったので、残念だった。
しかしそんな中でも、「人間、目標とか、希望が持てないと頑張れないもんだよ」と言う
友人のアドバイスに救われ、最後に病院で、鴨志田氏が、西はらさんに、結婚生活に感謝していて、我が人生悔いないと告げられた事が、今後この遺族が、これからの人生を生きる原動力と成り得る事が出来る触れ合いの言葉を交わせた事を嬉しく思う。
また、最後にこの映画は、鴨志田氏の「また、あいましょう!」のセリフと彼らの家族写真でエンドになって、ホッと胸を撫で下ろして、映画を観終わる事が出来た!ありがとう!