「誰もが通る子供時代の映画」SUPER 8 スーパーエイト shimashimayan1212さんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが通る子供時代の映画
始めに言ってしまうが,この映画は最近の洗練された作品とは全く違う性格を持ったものです。
ストーリーも単純で,もの凄く派手なシーンがあったかと思えば,細かい部分は無視している。
まるで,子供が遊びで撮ったような,そんな雰囲気のある作品です。
しかし,だから駄作かといえばそうではない。
本当に描きたかったのは,派手な事故シーンでもなく,軍の陰謀でもなく,エイリアンとの触れあいでもない。
誰しもが持つ少年の頃の淡い思い出,そして抱いていた夢そのものだったのだと思う。
**以下,本当にネタバレ満載
~あらすじ~
少年たちは,持ち合わせの道具だけで自主製作映画を作っている。
ありきたりなゾンビ映画で,お世辞にも上出来とは言えない。
だけど,自分たちの作品に誇りを持ってて,何より素晴らしい時間を共有していたのだ。
あるきっかけから,少年たちは大きな事件に巻き込まれていく。
それは軍が隠してきたエイリアンの逃亡から始まる。
大混乱におちいる街,そして仲間の少女アリスも連れ去られてしまった。
少年たちは,アリスを救うため,封鎖された街へ戻っていくのだ。
そんな状況の中,保安官代理の息子でありながら,
気弱で,おとなしい少年ジョーは,アリスを救うため,勇敢に立ち向かう。
ジョーとアリスはいつしか両想いになっていたからだ。
彼はついに,エイリアンの隠れ家を見つけ,彼女を救いだした。
しかしエイリアンに追い詰められ,逃げ場所がなくなったとき,ジョーはその身をゆだねた。
そのジョーを掴んだエイリアンは,彼を見つめて,それから放した。
元々は,人間に捕えられて,帰ることができなかったことが原因だったのだ。
そして,エイリアンが宇宙へ旅立つとき,ジョーとアリスはともにそれを見ていた。
その後ろには,度重なる誤解がもとで憎みあっていたお互いの父親もいた。
空高く上がっていく宇宙船を見ながら,二人は手を握り合った。
~あらすじ おわり~
この映画の本質は,全体のストーリーの中にもよく表れています。
そもそも,街をメチャクチャにでき,電気を自由に操れるエイリアンを捕えることができるのか?
そして,どういう目的でエイリアンを捕えて軍事機密にまでする必要があったのか?
そんな細かいことを考えること自体がナンセンスなのでしょう。
つまりは,全体のストーリー自体が,子供が抱くような発想なんですよね。
ひ弱な少年が,恋した少女のために驚くほどの力を発揮して勇敢に助けに行くなんてのも,
誰しもが少年期に妄想したに違いありません。
彼らが撮影していたゾンビ映画の中にも,同じ要素がちりばめられているのも注目です。
これは僕個人の考えですが,メインストーリーは逆でもよかったんですよ。
少年たちがSF映画を撮り,現実にはゾンビが現れても同じこと。
まぁ,スピルバーグがプロデューサーだったので,このようにしたのかもしれませんが(笑)
おそらく,アカデミー賞を取るような作品ではないですし,人を驚かせたり,何かを訴えかけたりするような性質のものではありません。
ただ,観たあとに心がふわっと暖かくなるような,そんな感じがしました。