劇場公開日 2010年9月11日

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「【”永遠の最悪より、最悪の最期。”仲の良き3組の家族が出かけた楽しき三日間の休暇が絶望に変わる様を描いた作品。名匠、アスガー・ファルハディ監督の秀逸な脚本が冴えわたる作品。】」彼女が消えた浜辺 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”永遠の最悪より、最悪の最期。”仲の良き3組の家族が出かけた楽しき三日間の休暇が絶望に変わる様を描いた作品。名匠、アスガー・ファルハディ監督の秀逸な脚本が冴えわたる作品。】

2024年10月21日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■テヘランからカスピ海沿岸の避暑地にやってきた大学時代の友人たち。
 唯一エリだけがセピデー以外の全員と初対面であり、一泊だけで帰ろうとする。
 だがその日、或る家族の子供が海でおぼれる事故が発生する。
 子供は大人たちの必死の救助で助かるが、エリ(タラネ・アリシュスティ)の姿が見当たらなくなり、残された3組の夫婦はお互いに疑心暗鬼になる中、或る家族の妻セピデー(ゴルシフテ・ファラハニ)は、泣きながらある事実を皆に告げるのである。

◆感想

 ・ご存じの通り、イランの名匠アスガー・ファルハーディ監督は、脚本も全て手掛けるが、その脚本の見事さ故に、今の地位にあると言っても過言ではない。

 ・今作も、3組の仲の良い家族と、一人の離婚したばかりの男と、或る家族の妻セピデーが誘った娘の幼稚園の教師のエリの間で起きた悲劇を描いている。普通は、これだけ登場人物が多く、ロケーションもほぼ固定であると脚本を作り上げるのは困難を極めると思うのだが、アスガー・ファルハーディ監督の脚本のは、それを軽々と飛び越えて来るレベルの高さなのである。

<今作では、悪人は誰も居ない。だが、”幾つかの隠し事”が重なり、悲劇が起きる様を息を尽かせぬ展開で魅せ切るのである。
  物語としては、悲劇出るが、イランの名匠アスガー・ファルハーディ監督の巧みなる脚本に基づいた俳優達の演技を堪能したい作品である。>

NOBU