「タイ・ラヨンでの撮影は経験したことのない暑さ」太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)
タイ・ラヨンでの撮影は経験したことのない暑さ
太平洋戦争末期のサイパン島で、米兵から“フォックス”と呼ばれて恐れられた陸軍大尉・大場栄。たった47人の兵を率い、4万5000人の米軍に立ち向かったという史実を題材にした実録小説を原作に、決して諦めずに生き抜いた日本兵たちの姿を竹野内豊主演で映画化した。
撮影はサイパンではなく、タイ南部の街ラヨンの海軍基地内(ジャングル)で行われた。気温は軽く40度を超え、肌感覚としてはずっとサウナにいるような気分のなか、大粒の汗を流しながら取材したことは忘れようがない。キャストそれぞれが真摯な面持ちで役に向き合い、かつて日本にいる大切な人達を守るために戦場へ赴いた男たちの思いを汲み取っているように感じ取った。
竹野内や唐沢寿明の立ち居振る舞いはもちろんだが、共演した岡田義徳の言葉が印象的だった。
「場所に酔わないようにしたい。自分がいい作品を撮っている気になる。一歩引いたところから見つめないと……」。
映画人たちも、必死に戦った作品と思えば、また違った見え方がしてくると思います。
コメントする