「軽めのスパークリングワインのような、ふくよかでさわやかな味わい。」ジュリエットからの手紙 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
軽めのスパークリングワインのような、ふくよかでさわやかな味わい。
こういう展開になったら最高!!という筋で進みます。大人の私は「そんな都合よくいくわけないでしょ!!」と突っ込みたくなるのですが、私の中の乙女心が浮足立って、最高の賛辞を送りたくなります。
大人の鑑賞に耐えられるようになっているのは、脚本、演出、そしてクレアを演じられているレッドグレーヴ女史の演技。(ミッション・インポッシブルでマックスやってた方なのね)
恋する乙女の表情。孫たち若い世代への様々な表情。酸いも苦いも経験してきたであろうことを匂わせる表情。
彼女の存在が、ご都合主義のような物語を地に着いたものにし、いつの間にか応援してしまいます。
恋って幾つになってもいいですね。
お相手役のネロ氏は女性と手をつなぐ姿なんて想像できないほど、あのお年で精悍、ハードボイルドなのに、クレアとロレンツォが手を繋いでいると初々しいこと(*^。^*)。10代に戻っているようです。
そんな顔と孫世代を気遣う大人の余裕とが微妙に混ざり合い、年取るって素敵だなと思えます。
運命の恋…じゃあ、僕の祖父とは運命じゃなかったの?っていうシビアな部分も出てきますが、「祖母の人生は楽ではなかった」という一言、それを言葉ではなく体現しているクレアの存在感で、人生とはって考えさせられてしまいます。
孫とクレアのやり取りを見ていると、クレアがイギリスの家族を大切にしてきたことも見えるし…。運命の恋が1つだけって誰が決めた?と言いたくなる。その時、その時に出会うこと。それに対する選択・決断、それが運命なんだと思いたくなる。今回、クレアの手紙が発見されたこと。そこからのソフィの決断・行動、クレアの決断・行動…。
そんな恋のやりとりと、同時にソフィの変化も綴られていく。
「こうしたい」と言うのがあるのに、上司にも、恋人にも言いだせなくて、我慢し、失意の時を過ごすソフィ。
それがジュリエットの秘書にあった時から、クレアに返事を書いた時から、思い切って自分の道を踏み出していく。
「それが真実なら、遅すぎることはない」
この映画みたいにそのすべてがうまくいくわけではないけれど、これはこれでありと心が軽くなる映画です。