「色褪せない」トリック 劇場版2 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
色褪せない
面白い。
おそらく1度見てしまえば、ネタも展開も分かるので初見のインパクトは薄れると思う。
だけど…初見で見たらやっぱり面白い。
作品自体は2006年、随分と前だ。
この鮮度はなんなんだろうか?
当時としてもそうだが、今となっても、やはり他に類を見ないのかもしれない。
仲間由紀恵さんの出世作だと記憶している。
どんなにアホな台詞を吐こうが、どんなにバカバカしいシチュエーションだろうが見てられる。
不思議な…ホントに不思議な体験である。
美しいのは言うまでもないのだが…なんなんだろうか?すっとぼけたあざとい芝居も何故だかハマる。
阿部さんの細かい芝居とか、ホント可笑しくてしょうがない。目線とかをちゃっかり抜いてるアングルの妙だと思われる。
…それにつけても、隙あらば挿入されるボケの数々。やたらに滑舌の良い仲間さんのツッコミ。
「なんでやねん!」と観てる側が突っ込む様なシチュエーションも多々あるのだが…「トリックだからいいんじゃね?」みたいな免罪符が確立されてる。
勿論、脇の役者も傍若無人だ。
野際さんとか、なんであんなに面白いのだろ?
ホントに良く分からない。
今回は片平渚さんが大悪だ。
言わずとしれた「2時間ドラマの女王」だ。
彼女が追い詰められるのは、やはり崖っぷちなのだ。
明らかに狙ってるよねw
そして、流石だと思うのは、そのシチュエーションを片平さんは成立させちゃえるのだ。
違和感を抱かない。抱かせない。
とつとつと喋る独白を聞いてしまえる。
…驚くよ、実際。
片平ワールドと言ってもいい。
彼女がそのシチュエーションを背負った刹那、片平劇場の幕が開く。
そら恐ろしい程の存在感の為せる技なのだ。
気楽には勿論見れるのだけど、ソレだけではない。
見出した途端に、ガッツリ襟首を捕まえられて囚われてしまう。この作品を生み出した堤監督は、やはり天才なのだと思う。
忘れた頃にまた見たら、初見と同じかソレ以上の面白さを見つけられるのかもしれない。