劇場公開日 2011年8月27日

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「なぜ少女たちは頑張れたのか」日輪の遺産 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0なぜ少女たちは頑張れたのか

2012年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

難しい

金額はともあれ、このような隠し財宝があったかどうかは分からないが、少女たちが身を粉にして勤労に励んだのは御国のためと思えばこそである。
この、御国のためというのは、戦争に勝つためという意味だったのだろうか。
たしかに戦時中はそうであったろう。だが、昭和20年8月10日といえば、軍の上層部だけでなく、多くの国民が敗戦を意識していてもおかしくない。
こうした状況の中で御国のためというのは、もはや戦争に勝つためではなく、日本の未来のためという思考の変化だ。国の未来のためにだったら、この身を粉にしても頑張らなくてはと、少女たちはそう思ったに違いない。

それに引き換え、軍の上層部は、未来のため、日本の復興のため財宝を隠匿することを思いついたのはいいが、この期に及んでまだ犠牲者を増やそうとする。特攻隊や人間魚雷、いったいどれだけ若い命を無駄にしたら気がすむのだろう。軍にとって御国のためは、いまだ目の前を取り繕うことしか頭になく、ほんとうの意味で未来を見据えていない。

これは3・11大震災の後の日本にも同じことが言える。
いま、日本は死に物狂いで復興を急がなければならない。GNP世界2位まで躍進した経済成長も、震災や新興国の台頭で力が落ちてしまった。原発の停止による電力不足や急激な円高等で、日本の生産業はガタガタだ。にも関わらず、政府からは未だ具体的かつ抜本的な政策が打ち出されていない。
これは国が国民ひとりひとりの生活水準を犠牲にして凌いでいるということだ。
震災からもうすぐ1年になろうとしている。腹をくくるのが国民であってはいけない。国の長(おさ)はそのためにこそある。

マスター@だんだん