ハロウィンIIのレビュー・感想・評価
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拭えど消えぬ、血の絆 [スコア修正]
まず初めに、このレビューはオリジナル版『ハロウィン』を一作も観た事の無い人間が書いてます(凄く観たいのにレンタルが見つからないんですよ)。オリジナルはひとまず置いといて。
見終わってから、前作を復習しとけば良かったと後悔。殺人鬼マイケル・マイヤーズの動機に関わる部分を再度理解してから観るべきだった。
“EVIL HAS A DISTINY(悪は宿命)”と銘打った前作。“FAMILY IS FOREVER(家族は永遠)”と銘打った本作。
前作からだが、この映画は並のスプラッタ映画とは明らかに異質だ。先天的な凶暴性を除けば、マイケル・マイヤーズは普通の、人を愛する事も知っている少年であり、単なる“怪物”ではなかった。彼が真の怪物と化したきっかけは母親の自殺と精神科医の身勝手な行為だった。
本作は娯楽色の強いホラーのようにバリエーション豊かな殺害方法が登場する訳では無い。だがそれはマイケル・マイヤーズが恐ろしくないという理由にはならない。これっぽっちもならない。寧ろ殺人シーンでここまで恐怖を覚えたのは初めてかもしれない。
マイケル・マイヤーズは全く見ず知らずの人間——しかもその半数はごく普通の親切な人間に対し、「何故そこまで」と泣きたくなるほど執拗に攻撃を加える。
私怨の対象でもあるかのように。殺害する人間の存在そのものを否定するかのように。
これはもう『殺害』とは呼べない。『破壊』だ。
彼にとって世界の構成物は、自分を愛してくれる家族と、家族を引き裂こうとする“障害物”だけだった。後者は徹底して破壊されるべき存在だったのだろう。
彼が実妹である主人公ローリーを捕らえて何をするつもりだったかは判然としないが、ひとつはっきりしているのは、彼が『また幸せな家族に戻りたい』と願っていた事だけだ。
ローリーはそんな彼の想いを察して「愛してる」と口にしたのだろう。
そしてラストの、いびつなローリーの姿。
映画の文脈とは全く関係無いが、うろ覚えながら『蜘蛛巣城』のとある台詞が頭に浮かんだ。
「嫌な血だねえ……いくら洗っても落ちやしない」
ローリー=エンジェル・マイヤーズの精神の中で家族は再びひとつになり、マイケルの願いは達成された……陰鬱なハッピーエンド。
大切な人々を殺され、自分に流れる血を呪っただろうローリーが何故その血を受け入れたかという点が少し説得力不足な気がするのが残念。
<2010/10/29鑑賞>
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