「自己表現の過程」君に届け movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
自己表現の過程
周りが持つイメージと、本当の自分のギャップ。
そこを乗り越えて、爽子も風早くんも思春期に自分を発信できるようになるまでの過程が描かれている。
ゆず「うまく言えない」PVの延長のような三浦春馬が、観る者を最後までずっともどかしい気持ちにさせる爽子を、ただただ待つ物語。
ひたすら1年近く待った挙句、「付き合うとか、無理っていうか、ごめんなさい」と断られたらそれは意気消沈凄まじいことだろう。
風早くんは、入学式の日から爽子を気になってはいたのだろうけれど、まだ爽子をよく知らず、大好きかどうかは確信に至っていない頃から、周りの目や噂に流されずに爽子に接している。桐谷美玲が好きになるのもわかるが、桐谷美玲、リサーチ不足だなぁ。まっすぐな男子が、裏でこそこそ手を回したり、化粧が濃い子を好むとは思えないもの。
ツッコミどころは満載。
あれだけ貞子貞子とからかわれていて、両親も爽子には目をかけていながら、なぜ髪の毛を切るよう助言しないのか?
どう見ても頭の良い学校ではないところに、なぜ勉強はできそうな爽子が進学したのか?
ショートカットの夏菜に見慣れていると、ギャルが夏菜で驚くが、とても似合っていた。
井浦新も、え、こんな役もやっていたんだと驚き。
三浦春馬が亡くなったことが未だ信じられない。
本当に来た役を一生懸命こなす、誠実さに溢れ、でも周りが持つイメージや期待とのギャップも抱えているような、深みや感受性もしっかりありつつ、まっすぐ向き合う人間性が、ファンまでいかずとも大好きだった。
この作品同様多部未華子と組んでいる、僕のいた時間。生前でも大泣きして見たのに、今はもう作品の内容と三浦春馬への喪失感が相まって、悲しすぎて見返す勇気がない。