「スタジオジブリの新作並みの上質作を何年間にもわたり毎週観られたことは実に豊かで贅沢な時代でしたね。」赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0スタジオジブリの新作並みの上質作を何年間にもわたり毎週観られたことは実に豊かで贅沢な時代でしたね。

2025年6月5日
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新作アニメ『アン・シャーリー』がNHKで放送中のL・M・モンゴメリ原作『赤毛のアン』。
日本アニメーション創業50周年を記念して1979年に「世界名作劇場」で放送された高畑勲監督版『赤毛のアン』(1~6話再編集版)が5月30日(金)から2週間限定公開中。

『赤毛のアン~グリーンゲーブルズへの道~』(2010年/100分)
フジテレビがまだ「母と子のフジテレビ」のキャッチフレーズだった1979年、毎週日曜19時30分の「世界名作劇場」第5弾として全50話放送。
本作はアンがグリーンゲーブルズへやって来て、カスバート兄妹に正式に引き取られるまでの第1話~6話を再編集。

監督・脚本は高畑勲氏、キャラクターデザインはのちに『耳をすませば』」(1995年)を監督する近藤喜文氏、宮崎駿氏も場面設定・画面構成で参加と今思うと何とも豪華な布陣。

45年以上前の作品で技術面では今と大きな差はありますが、近藤喜文氏の描くキャラクターは洗練されたデザインで、実に生き生きと実写作品以上に真に迫っています。

さらに感受性豊かで空想好き、立て板に水のごとく喋り続けるアンの独特のキャラクター設定も脚本も手がける高畑勲監督が上手に演出していますね。

主題歌「きこえるかしら」「さめないゆめ」も子供向けアニメのレベルを遥かに超えた甘美で壮麗なアニメ史に残る名曲。

世界名作劇場の枠は古くは『ムーミン』『アルプスの少女ハイジ』、その後『フランダースの犬』『母をたずねて三千里』『あらいぐまラスカル』『ペリーヌ物語』、そして本作とスタジオジブリの新作並みの上質作を何年間にもわたり毎週観られたことは実に豊かで贅沢な時代でしたね。

矢萩久登
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