「最終話「神は天にいまし、すべて世は事もなし」につづく話」赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
最終話「神は天にいまし、すべて世は事もなし」につづく話
ルーシー・モード・モンゴメリ先生原作の「赤毛のアン」のテレビアニメ化がされたのが1979年、私が小学生低学年の頃のこと。当時、再放送含めバトルヒーローものの鑑賞に忙しかったはず・・・の私が、なぜかこの地味な児童文学の匂いのする「赤毛のアン」に心を強く惹かれ、よくテレビ鑑賞してました。最終話「神は天にいまし、すべて世は事もなし」は印象的で題名を覚えました。当時は古語的言い回しゆえ、意味がよく分からなかったけど(笑)。
学生時代シリーズ全50話、ビデオレンタルで見直した際、改めて傑作であることを確認しました。また高畑勲さん宮崎駿さん、近藤喜文さんら・・・当時のジブリの重鎮が揃いも揃って参加していたことをその時知り、驚愕したのは言うまでもありません。彼らが子供向けテレビシリーズだからといって妥協するわけなんかなく、その凄まじいほどの完成度から心血注ぎ、魂削ってこの作品を作り込んでいたのは想像に難くありません。
今回、シリーズ6話までの再編集版を高畑勲監督自ら制作いただいたものが劇場の大スクリーンで鑑賞できるということで、グリーンゲーブルズに向け、正装したマシュウ・カスバートと馬車で疾走するアン・シャーリーの如く胸を躍らせて映画館に足を運びました!
そして映画冒頭、お約束の主題歌とアンを乗せる幻想的な馬車のシーンで初っ端から感涙です!
ただ、思い出補正だけで過大評価してるみたいなレビューと思われると癪なので(笑)、以下整理しました。
この作品の秀逸なところは
・グリーンゲイブルズの周囲の自然、人工物含めて美しく魂が宿っている様な素晴らしい背景美術。
・過剰気味な言葉以上に、目で語るアン・シャーリー。想像を巡らすときは心ここにあらずな虚空を見つめる様な描写が多々みられる。これ、演出上本当に素晴らしい!
・原作に忠実かつ、行間を読み込む様な深い理解をした上での映像化!今、某国営放送で上っ面だけ綺麗にリメイクしてる製作者は教科書として原作本と合わせてテレビシリーズ全50話見返してたら良い(笑)。
残念なのは、今回の総集編が物語のさわりではあるが、ほんの導入部分のみってことです。もう、これは全集ブルーレイで買えってことなんでしょうか(検討中。たぶん買います!)
ぜひ、ご鑑賞を!