「【”山で落としてはイケないもの。”警察山岳救助隊の方々が多くの遭難者を救助する尊崇なシーンと新人女性救助隊員の成長を描いた物語。今作はエンタメ性を保ちつつ、良き山岳映画になっていると思った作品です。】」岳 ガク NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”山で落としてはイケないもの。”警察山岳救助隊の方々が多くの遭難者を救助する尊崇なシーンと新人女性救助隊員の成長を描いた物語。今作はエンタメ性を保ちつつ、良き山岳映画になっていると思った作品です。】
■北アルプス山系を守る北部警察署山岳救助隊(長野県警察及び富山県警察と思われる。)に配属された新米隊員の椎名久美(長澤まさみ)。
強力な体力、精神力、ユーモアを持つ山岳救助ボランティア・島崎三歩(小栗旬)や救助隊長・野田(佐々木蔵之介)から指導を受けた彼女は、自らの未熟さを痛感して自信をなくしてしまう。
そんなある日、猛吹雪の中で多重遭難が発生する。
◆感想
・イキナリで恐縮であるが、今作公開時に私は鑑賞を見送っている。公開の半年前に山で辛い経験をしていたためである。
それ以来、今作の存在自体忘れていた。何だか、申し訳ない。
・今作では、様々な遭難シーンが描かれるが、冒頭の雪被る槍ヶ岳を目指す単独登山者の若者のシーンはハラハラする。アイゼンは付けていないし(信じられない。)ピッケルの持ち方もなってない。と思ったらヤッパリ滑落。ピックを雪面に刺す事も出来ずに、クレバスに落下する。
ー 全くもう!。だが、ここで若者を助けに来た三歩は若者を叱ることなく、明るい調子で話しかけるのである。遭難者にとって、大切な対応である。ー
・梶一郎(光石研)、梶陽子(中越典子)親子が爆弾低気圧が発生し、表層雪崩に巻き込まれ、クレバスに落ちるシーン。
ー 椎名久美が陽子をヘリに乗せ、自分はクレバスに残る。所謂二重遭難に繋がる危険な行為である。だが、彼女は一郎の氷塊に挟まれた足を切断する決断をする。
そこに驚異的な体力でラッセルしながらやって来た三歩。彼も又、表層雪崩に巻き込まれながら、グローブの代わりに帽子を手に巻き(凍傷予防)、ダブルアックスでクレバスに入り、二人を発見する。だが、久美の息はなく。人工呼吸で息を吹き返す久美。
もう、ハラハラするなあ。-
■それにしても、山岳遭難は減らないなあ。特に40代以降の遭難は相変わらず多い。体力付けて、スキルも身に付けて山には登りたいモノである。
因みに、今作は北アルプスが舞台のようだが、映画を観ると、長野県警察山岳救助隊及び富山県警察山岳救助隊の皆さんには、感謝の念しかないな。
<今作は幾つか気になる部分もあるのだが、(晴れた雪面を歩く際に、サングラスをしていない。翌日雪目になって大変な事になるんだよ。)主演のお二人を含め、山岳救助隊員の役を演じられた方々は大変だったと思う。遭難対応訓練シーンとかね。間違いなく事前にキチンとしたトレーニングをしていると思われる。
小栗旬さんの懸垂下降(吹き替えかな?)やラッセルするシーン、カラビナの操作(吹き替えかな?)なども、キチンと映されており製作者サイドがキチンとした山岳映画を作る!と言う気概が伝わって来るのである。
今作は、エンタメ性を保ちつつ、良き山岳映画になっていると思った作品です。>
■ところで、エンドロールで日本のプロフリークライマーの第一人者である平山ユージ氏の名前が出たのであるが、何処に出演されていたのだろうか。制作側かな。