「マーティン・キャンベルのテンポのいい演出」グリーン・ランタン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
マーティン・キャンベルのテンポのいい演出
宇宙警察機構〈グリーン・ランタン〉の一員となる資格は恐怖を克服できることで、そのためこれまで地球からはひとりも選ばれたことがなかったという設定がこの物語の肝だ。
恐怖心を持つことは欠点ではなく、勇気こそ地球人が持つ最大の武器であり、ハルがその代表というのが大筋となる。
封印されていた凶悪な怪物が結界を破って再び世界を恐怖に陥れるというストーリーはお馴染みのものだが、「007 カジノ・ロワイヤル」でキレのいい新ボンドを誕生させたマーティン・キャンベル監督が、相変わらずテンポのいい演出で盛り上げる。
ハルが元恋人のキャロルとともに戦闘機に乗り込み、開発中の無人戦闘機を相手に空中戦を交える冒頭だけですっかりのめり込んでしまう。
宇宙最強の武器パワーリングの訓練も、創造物がやや子供じみてはいるものの、ゲーム的なスピード感はリメイクで旧作と代わり映えしなかった「トロン レガシー」よりも楽しめる。
悪の化身・パララックスが「リトル・マーメイド」のアースラが黒雲になっただけみたいなデザインに斬新なところがなかったのが残念。
なぜかこの作品を観ていると、「ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀」(1986)を思い出す。駄作といわれた作品だが、けっこう面白かったけどな・・・。
クリーチャーで魅力的だったのは、グリーン・ランタンの面々ではなく、不死身の種族の面々。鉱物でできた尖塔の上に座りフンドシのような赤い布を垂らして円陣になった彼らだ。とくにジブリのアニメに出てきそうな“おばば”の表情がいい。
元カノのキャロルは綺麗なお姉さんといった感じだが、ハルがグリーン・ランタンのメンバーになることをビビっていると、いとも簡単に「あなたはいつも物事を途中で投げ出す」と叱咤する。そうかとおもうと、パララックスの襲来に立ち向かおうとするハルに思いとどまるようすがるのだ。
あ~、女心とパラドックスの空・・・。
VFXの作り込みに不足を感じるが、難しいことは考えずに気軽に楽しめる1本。
続編はあるのかな?