「思わず口ずさんでしまう女子ラップに乾杯♪」SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)
思わず口ずさんでしまう女子ラップに乾杯♪
ラッパーを目指す埼玉(大宮ではない)の若者の苦悩と奮闘を描いた前作の「SR サイタマノラッパー」。予想外のスマッシュヒットを記録し、この短期間でまさかの続編が登場! そして今回の舞台は群馬(高崎ではない)。そして女子ラッパー!
前回で“田舎でラップ”というビッグ・ワンアイデアを消費してしまったので、本作はそれだけで観客をうならせることはできない。だから構造はそのままに、舞台を群馬に移し、女を主人公にしている。これは実に気の利いた続編アイデアだと思う。イケメン・美人が一切出てこない、だけどちょくちょく笑わせてくれるエンタメ性に富んだ低予算な作品。そんな作品が国内外で高評価され、多くのインディペンデント・フィルムメイカーに夢を与えているではないか。悪い言い方になるかもしれないが、非常に運のいい作品なのだ。この勢いで栃木もいって欲しいし、はては北関東を飛び出して全国を駆け巡ってほしい。「男はつらいよ」「釣りバカ」シリーズのように。
ストーリーは王道だけど、現実的な問題に追い詰められる“普通の人々”の切実さは、コミカルながらも真摯に伝わってきて好感が持てた。「川の底からこんにちは」にも共通することだけど、ラップをモチーフにしながら、映画は大したことない人々の大したことない人々による大したことない人々のための人間賛歌なのだ。ぬるい成功がないのがリアルでいい。
ただ、出演者の標準弁は少し気になった。群馬、それもあそこまでの田舎となると、かなりアクセントの強い群馬弁となるはず。あと、ラップに字幕がほしかったな。
でも彼女たちのラップ、つい口ずさんでしまう! ラップで戦う女子、かっこ悪いワケがないです。
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