「モヤモヤ・・・」インフェルノ NobuNagaさんの映画レビュー(感想・評価)
モヤモヤ・・・
ダンテの叙事詩からの地獄絵図に秘められたマッドサイエンティストのメッセージを謎解きながら人類滅亡を阻止する大学教授の話。
フィレンツェやヴェネチアの空撮はとても綺麗だったが予告編で期待したほどの内容ではなかった。
前半はダンテの詩をベースにした文学的な重さの中に化学兵器で汚染されてしまった町やゾンビ化した人をサブリミナルでバンバン挟み込む演出がカルト映画感を醸し出し、かなり期待させてくれたが、後半一転してサスペンスアクションに。
あれ? 普通だ。。。
WHOの職員が爆発物処理をして決着つけるナンセンス。そんなスキルを持っているのか?w
その職員と大学教授のプチロマンスは軸がブレる演出。
裏切った女医との駆け引きを広げたほうがよかったんじゃないだろか???
マッドサイエンティストが予想する人口増加の地獄絵図。
あながち荒唐無稽とも言えない現実だと思った。
世界中の戦禍。
「正義」の名のもとに大量殺戮の応酬で滅ぼし合う愚かな人類。
生物化学兵器で殺し合いを始めるのは時間の問題だろう。
この映画では某教団によるサリンテロを彷彿とさせるシーンが後半に出てくるが、無人爆撃機でピンポイントで殺人を行っているアメリカも世界最大のテロ国家であり、某宗教団体の暴挙となんら変わらない。
「正義」を掲げた核兵器の正当化をアメリカが国連で表明し、被爆国のはずの日本がそこに乗っかる票を投じた日に日本で公開されたこの作品は、人類が滅亡の危機と常に隣り合わせだという事実を焼き付けてくれるには丁度良い教材だった。
コノ手の人類滅亡を阻止するストーリーはハリウッドの監督達のアメリカ政府への警鐘か?それともビバアメリカ的支配思想なのか?それぞれの発想を知りたいような知りたくないような。。。
我々の未来に地獄絵図が広がらないことを祈るばかり。