ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士のレビュー・感想・評価
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リスペット、あなたはカッコいい
原作も以前の映画も読み終え見終えてから数年経過しているので、ストーリーの細かい部分を思い出せない所もあったし、警察、公安、誰が味方か悪者か、大体顔が覚えられなかったりもするので、少々混乱しながらではあったが、リスペットという人物の魅力には終始引き込まれたし、終盤に向けての疾走感はやはりこの小説、映画の好きなところ。私と体格が同じこの女性が知識と鍛えた身体で孤軍奮闘(実際は彼女を助けたい人たちが何人もいる)する姿にもう感動しかない!
これ以上無い位に完璧
前作「ミレニアム2」のラストの続きで始まります。
それにしても今回もかなりの緊張感があり、後半の法廷での争いも凄かった。貯めに貯めてここへ持ってきたのがよくわかります。
警察側も良いキャラが出てきて、女性の警察がとても格好良い。
それとほぼモブのようなPC屋のオヤジ。彼の活躍には驚きました。
自身の幸せを完全に諦め、一人で生きてゆく決意の強さがその表情からもすごく感じられ、改めてノオミの演技力に驚かされます。
特にラストの「ありがとう」、それは万巻の想いを込めた名場面でした。
シリーズをこれ以上無い位、完璧に閉じた作品でした。
本当、実に面白かったです。
「またね」「きっとだよ」と言ったのに…。
信頼できるはずの大人と社会に裏切り続けられたリスベットから出たひと言。これ以上、心に響く言葉は見つからない。ゆるぎない信頼の証。この言葉の重みは、第1作と第2作を見ていないとわからない。
次の物語が始まる予感だった。
タトゥについても明らかにされていないし…。
リスベットとミカエルの関係、エリカとミカエルの関係、リスベットとエリカの関係、そして、アニカとの関係も見守っていきたかったのに…。
だのに、ミカエルを演じていらしたニクヴィスト氏が鬼籍に入られた。大好きな二人は永遠にこの先を紡いではくれない。せっかく、原作者が亡くなられた後をついだ続編が出たときくのに。
野生のピューマ・ヤマアラシみたいなリスベットの微妙な思いを、繊細に愛おしく格好良く衝撃的に表現してくれたラパスさん。
リスベットに寄り添う、実直なのに鈍感でちょぴり傲慢でもあるミカエルを演じたニクヴィスト氏。
他の役者が演じても、あの二人にはならない。なんて悲しいことだろう。
ご冥福をお祈りするとともに、この3作を残してくれて「ありがとう」。
第2作でのもやもやが、第3作では、さらに大ごとになってハラハラ―こんなに大風呂敷広げて回収できるのかというハラハラもあり(笑)ーが、新しい風が吹く予感で終わる。
”眠れる女と狂卓の騎士”とは、よくつけたものだ。原作の副題は違うらしいけれど。
前編後編のTVドラマとして作成された第2作と第3作を編集して映画に仕立て直したとか。
第2作で、これでもかと孤軍奮闘したリスベット。
それが、第3作では眠れる姫(収監されているリスベット)を守るべく、ナイト達が活躍。そのナイト達とは、微妙に同じ思惑・違う思惑で、たくさんの人たちが動き、結果リスベットを…。
その対比が鮮やか。第2作でこれでもかと鬱屈させられ、第3作で収拾がつくのか、どう反撃するんだとハラハラさせられる展開が、すうっとする。
もちろん姫もただ守られているだけではない。
勝手に私がラスボスと思っていた人はあっさりと殺される等、邦画とは違う展開に引き付けられる。
ただの復讐劇ではなく、社会派ドラマ。
国家的な陰謀を民間ジャーナリストが暴くが、正義の鉄槌を下すのは国家権力というところも、安定感に支えられて心地いい。正義は勝!
そして何より、胸をわしづかみにされるのはやっぱりリスベット。
裁判でさえ、一人で戦うつもりで乗り込んでいく。ミカエルの妹である弁護士がブチ切れそうになるほどに。
少女時代、リスベットの言葉をまともに扱う人はいなかった。その生き様はヤマアラシのジレンマ。法廷に乗り込むファッションはハリネズミ・戦闘服。
でも、リスベットの知らぬところで、実は味方はいた。
第1作ではリスベットを推挙する弁護士、リスベットの調査を信用する弁護士、
第2作では命がけでリスベットを助けようとする人々、
第3作で尽力する面々(今回の主治医とのロマンスも期待したくなるが、主治医の自転車の後ろ座席は子ども用の椅子…)と、
でも、それを実感できていないリスベット。だから、病院での、裁判での周りの言動ごとに、微妙な様々な表情を見せる。そこがくすぐったくこそばゆい。さらに、リスベットのファンになってしまう。
そう、ただの法廷劇ではなく、人間ドラマ。
リスベットの、人と人との距離の詰め方が、とってもくすぐったい。いじらしくて、幸せになるまで見届けたいと思ってしまう。そんな余韻が後を引く。
と、第2・第3作続けてみると☆5。けれど第1作と比べると、やっぱり評価は落ちてしまう。
緻密な小説を端折ったからだと思うが、映画だけだと唐突な展開・ご都合主義的展開・不可解な展開・もっと掘り下げて丁寧に描写してほしい展開・端折ってほしいだらだら展開が目につく。なにより、TVドラマとして作られたからか、第1作に比べるとキレが甘い。
”巨悪”ということはわかるが表面的な描写。サブストーリーに追いやられ、『ミレニアム』の存在が活きてこない。
その巨悪に『ミレニアム』が追い詰められるが、第1作の強烈さに比べると、緊迫感にかける。エリカの苦悩、エリカとミカエルとの不協和音を見せるけれど、中途半端。追い詰められ方は、第1作より第2・3作の方が、四方八方魔の手が迫り、大変なんだけれど…。
法廷でも、最初のリスベットの反撃は「さすが!」と喝采だが、それ以降は精彩を欠く。第1作でファンになったリスベットじゃない!!幼子? 最初にやり込められて、後半、狂卓の騎士達からの反撃と、”見せ場”を作るため? とはいえ、他の映画の法廷でのやり取りと比べると、あまりに単純すぎて…。しかもオチが…。かつ、リスベットの罪状について審議されていない…。反撃には拍手喝采したいスカッとする場面ではあるのだけれど…。
とはいえ、権威の影に隠され、社会の中に紛れ込んだ悪を、
訴えられて牢屋に収監されてしまう記者も含めて、社会的に有利に立ち回ろうとしない、社会から見れば鼻つまみ者たちが暴いていく。
よくある題材ではあるものの、他の映画に比べれば、綿密に練られた物語。
だから、何度でも言ってしまう。
もっと、観たかった。
3部作でのキレイな着地!
お見事、と褒めたくなるような見事な着地。感動しました。
伏線の回収というわけではないが、3作目になってやっと1作目の行動の意味が理解できる部分があり、どこまで計算されて作られているのか?と、感心する。
ラストシーン。2人の会話は言葉数少ないが、とても心が通っている感じがして、微笑ましかった。私にとって、忘れがたい名シーンだ。
法廷のシーンが……
どうしても原作と比較してしまうが,内容はかなり圧縮されている。エリカについてのエピソードはまるまるカットされているし,最大の見せ場である法廷での緊迫したバトルもかなり駆け足気味。とりわけテレボリアンが徐々に論破される過程は実にスリリングで迫力があったのだが,映画ではその欠片も感じられないのは残念。とは言え全体的に見ればボリューミーな原作を上手くコンパクトにまとめたと思う。
優秀さや強い意思と過酷な運命と
ミレニアム・シリーズ第3弾。
原作が小説で、ストーリーが1、2からの続き。
リスベットが大怪我を負って入院中、ミカエルらが調査を続ける。
後半は裁判劇になり、結末まで行き着くのでじっくり楽しめる。
なんというか、たとえ肉親であろうとも、悪とは関わりたくないと切実に思わされる作品であり、シリーズだった。
このオリジナル版のほうが、個人的にはハリウッドリメイク版よりも深みを感じるようにも思う(ごめんね、ハリウッド版)。
人生って…。
リスベット、あなたを忘れない・・・
とうとう最終作を観た。観るまでは見たくて見たくて仕方がなかったが、観終わってみると、もうこれで終わりだと思うと悲しかった。最後までハラハラドキドキさせられた。3作目は陰謀に巻き込まれる話。それも国家規模でスケールがでかい。あんなことってあり???って思った。リスベットがあんなにも頑なで、他人を寄せ付けないのもわかる気がした。人間に裏切られ続けてきたからなんだね。ミカエルに対してもあまりにもかわいくない、素直じゃないのも仕方ないかと思った。リスベットはああいうことがあって、過去と決別し、平穏な日々を送ることができるのだろうか? そんなことも考えさせられた。原作者は4作目も用意していたそうだが、心筋梗塞で若くして亡くなったとか・・・ 残念でならない。
社会の不適格者とレッテルを貼られた女の反撃
前作で重傷を負ったリスベット。だが、重要な被疑者でもある。
警察の監視下に置かれた彼女が、病室から一歩も出られず、どうやって得意のサイバー戦法に持ち込むのかが、興味をそそる最初のポイントだ。
やがて物語は、リスベットの回復を待って法廷ドラマに持ち込まれる。ここまでほとんど喋らなかったリスベットが公判に入ると持ち前の頭のキレを発揮、社会の不適格者とレッテルを貼られた女が一転して反撃に出る様変わりが見どころ。
いっぽうで、リスベットを無罪にすべく、ジャーナリストのミカエルが情報収集に奔走。彼の妹が弁護を引き受ける。さらに政府高官たちの売春を暴こうとするミレニアム編集部には脅迫のメールが届きはじめる。彼らは命を脅かされる恐怖のなか、無事、出版に漕ぎ着けられるのか? 前作で所在不明になった金髪の大男ニーダーマンの動きも気になる。
幾重にも同時進行する筋立てが、編集の妙もあり、緊迫した空気を生む。
法廷ドラマの体を取りながら、交錯する事件がやがて一本にまとまり、ひとつの点へと向かう。それは国家の暗部を暴くだけでなく、リスベットの過去が明かされることであり、これこそがこのシリーズ3部作を通じての主題だ。
これまで必要最小限の人間関係だけで生きてきたリスベットだったが、多くの人に支えられ助けられていることを知る。それでも最後まで“ありがとう”の一言が口に出せないリスベットが、逆に微笑ましい。
10ヶ月足らずで3部作全篇が観られたのがいい。人物相関が複雑なので間が開きすぎると頭がついていけなくなる。とくに2と3を一気観できたのがよかった。テンションを保ったまま最終話に突入できた。久しぶりに原作を読みたくなる映画だった。
アメリカ版のポスターが構図、色調ともにカッコいい。日本のポスターは2と3を統合してしまっている。
シリーズを見てきたものなら溜飲が下る完結編です。必見!
待望のラストとなる本作をやっと見てきました。捕まってしまったリスベットがどう持ち味を発揮して活躍するのか興味津々でしたが、今回はさすがに直接行動するのは難しかったようです。そのぶん彼女を取り巻く協力者たちが、リスベットと連絡を取りつつ、冤罪を解明していきます。タイトルの『狂卓の騎士』とは上手い表現で、取り巻きの活躍する様は、あたかも眠れる女王に使える騎士団といった風情でした。それにしても、前2作では、ミカエルに対して協力を頼むことは絶対しなくて、いつも単独行動だったのに、本作では明かにリスベットが仲間たちの活動に信頼を寄せている姿は意外でした。
そしてラストでミカエルに感謝するリスベットに驚くと共に、これで孤独だった彼女の心も癒されたと、ホロリとさせられました。だって見ている方も、1年越しの長い道のりだったのですからね。
そういう立場で見ていると、彼女の過去が明かされた前作は、身につつまされました。実の父親を殺してしまいたいくらい憎悪にかられた少女時代。その真相が明かされることで次第に、怒りの矛先が、後見人で彼女をレイプしまくったヒュルマンから、精神病院時代の主治医テレポリアンに移っていきました。こいつも影では、ロリコンマリアで、リスベットが強制入院されられた12歳の当時に、身体を拘束して、みだらな行為を楽しんでいたのです。
狡猾なテレポリアンは、巧妙に自らの淫行を隠蔽し、裁判でものらりくらりと言い逃れします。それだけではありません。奴は事件の黒幕となる公安警察OBの秘密組織と結託し、逮捕されたリスベットにしたり顔でニセの精神鑑定を、裁判所に証拠書類として提出。再び精神病院に押し込む陰謀を立てていたのです。
いくら優秀な弁護士であるミカエルの妹・アニカが弁護を務めても相手が精神科医では、反論ができません。彼らの目論見通りになるのかという瀬戸際で、仲間たちの活躍により、テレポリアンをギャフンとさせ、信用を失墜させる証拠がもたらせました。ご免なさいここまでは、絶対にネタバレしたかったのです。テレポリアンが本当に憎たらしく、溜飲が下る思いでした。
本作の大詰めは、公安警察OBの秘密組織を追い詰めること。現職の公安警察から捜査協力を求められたミカエルは、ニュースソースを明かさない代わりに止むを得ず臨時スタッフとなります。警察の庇護を受けられるようになっても、相手は名うての公安警察OB。証拠や証人の抹殺を謀った彼らは、入院先のリスベットから、ミレニアム編集部にまで魔手を伸ばします。編集部自体の危機は、これまでにない展開でした。
部下に生命の危機が及んだことを深刻に考えた編集長のエリカは、編集部の一時閉鎖とリスベットを弁護する特集号の発行を差し止めにします。
特集号の発行を通じて、リスベットの無罪をアピールしたかったミカエルは、エリカと口論となり、ふたりの愛人関係にも深刻な亀裂が走りました。
命の危険も顧みず、特集号の発行に付き進むミカエルの不屈の正義感には打たれました。恐らく観客の多くもエリカと同じように、何でそこまで身体を張らなくてはいけないのか、命あっての物種でしょい言いたくなるくらいです。
そんなミカエルの骨折りがあるからこそ、ラストに感動してしまうのですね。そして裁判に、鋲と黒革のパンク・ファッションに逆立てた髪型で現れるリスベットは、圧倒的な存在感でした。
3作を通じて、リスベットの強烈な個性と正義感溢れる社会派のサスペンスに魅了されるシリーズでした。迫力あるシーンが多いので、ぜひ劇場で続けての鑑賞をお勧めします。
ところで、主演のリスベットを演じたノオミ・ラパスは本作の出演を通じて、一躍国際スターに浮上し、ハリウッドでのメジャーデビューが決まりました。えぐいシーンにも体当たりでぶつかっていく演技がとても印象的でした。次回作も期待しています。
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