劇場公開日 2010年4月3日

「これぞ、まさに”掘り出し物”!!」ビバ!カッペ septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これぞ、まさに”掘り出し物”!!

2010年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

いやぁ、不覚にも泣いちゃったんですけど
なにこれ、まさかこんなところに傑作が隠れていたとは・・・

〈 人生とは戦うものでなく、仲良くなるもの 〉
〈 生きれば足跡ができ、おまえらしくなれる 〉
〈 夢は東京が叶えるのではなく、自分が叶えるもの 〉

上映終了後、受付にパンフを購入しに
急行したのですが、パンフそのものが
作られていませんでした。まさに、単館作品の極みといえるでしょう(苦笑)

“水戸市市制施行120周年”

今作は、これを記念し製作されました。
だから、水戸所縁の人、例えば錦戸親方(元水戸泉)さんが
主人公の亡き父親役で、出演されたりもしています。舞台挨拶の回にも
観に来ていましたね。並んでいるときにすれ違いましたから(笑顔)

◇   ◇

上映終了後にチラシを見て
「こりゃ、面白くてもおかしくないな」と納得。

監督が植田尚さんなんです。

映画監督としては『劇場版 只野仁』はイマイチでしたが、
テレビドラマの演出担当作は『結婚できない男』『チームバチスタの栄光』
『まっすぐな男』。仕上げは大好きで、リアルタイムで欠かさず観ていた『白い春』。

原作者も脚本家も映画の経験がありますし、かなり真剣に作られていたようです。

観ながら連想した作品は昨年大感動した、こちらも愛知県猿投という田舎を舞台に
製作された『築城せよ!』。このときのヒロイン、海老瀬はなさん、今年山田洋次監督と
立命館大学の学生と撮影した『京都太秦物語』の主役に抜擢されていますからね。

今作の二人もキャリアは浅いようですが、
この先、どんなシンデレラストーリーが待っているかわかりません!

◇   ◇

ストーリーはコメディタッチながらも
農業に対しては真面目さを込めたラブストーリーです。

その中には女の子3人の学生時代からの
友情物語もあって『水戸版 女の子ものがたり』っぽさもあります。

地雷かも→これひょっとして・・・→大当たりじゃん!

気持ちは時系列で、このように変わって行ったので、
感動した理由も、順番に書けてしまいます(苦笑)

①野菜を育てるだけ、稲の田植えから収穫まで、
 あくまで農作業を、メインにコミカルな部分だけでなく、
 いもち病など、農業の厳しさに正面から向き合っていたこと。
 「農業は楽しいより、苦しい」このセリフが象徴してくれています。

②稲が生い茂る田園風景が、ここまで美しく綺麗だとは思わなかった。

③強力な脇役陣。
 一番光っていたのが遠藤憲一さん。
 『白い春』にも大橋のぞみちゃんの育ての親役で出演してました。
 強面の役が多いのですが、今作かなりお茶目な一面も見せてくれています。
 農作業中、中尾捲きのようにスカーフをした姿を携帯の写メで撮られて
 はにかんでいるシーンなんて、私から言わせれば天然記念物なみです。

 他にも、渡辺裕之さん、愛川欽也さん、榊原郁恵さんなど、
 主役2名を脇から力強くサポートしていました。

④最初にも書いた心に残ったセリフの数々

⑤主人公2名の人として成長していく姿の描きかた。

「昔は農家に嫁ぐのは、農業にすべてを捧げることを
 意味していた。でも、俺はおまえに夢があるのを知っている。
 夢と農業と両立できるように応援する」

 これ主人公、農業青年太郎が花子に言った言葉なんですが、
 実際問題考えると、かなり夢物語が入っていると思います。

 でも、わたし他の作品でも書いたことがあるのですが、
 映画って観ている人に夢を与えたり、良い夢を見ているような
 気持ちにさせてあげるのって、すごく大事な要素のヒトツだと思うんです。

 だから、このセリフのあとに続いていく
 サクセス&ハッピーシーンすべてが、夢と現実の
 ギリギリのラインを上手く通り抜けていて、エンドロールが
 流れるや否や、涙で眼を腫らしながら、小さく拍手をしてしまいました。

☆彡     ☆彡

今作を鑑賞すると
農業への見方が変わると思います。

本当に、こんな人たちと一緒にできたら
苦しいかもしれない農作業も楽しめるだろうなとも思えるでしょう。

水戸に行ってみたいなぁ
もう一回観てみたいなぁ

今、すごく幸せな気分に浸っています♪

単館のまま終わらせてしまうのは惜しいです。
是非、日本農業を明るくする意味でも、上映館を増やしていってください!!

septaka