トイレットのレビュー・感想・評価
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タイトルのトイレットには、レイのばーちゃんへの優しさも込められている。
「かもめ食堂」の荻上直子監督が、カナダ・トロントで撮影した作品。
母親を亡くしたばかりの三人の兄妹が家族としての絆を取り戻すお話。
長男モーリーは、パニック障害の引きこもり。妹リサは、勝気で毒舌の大学生。一番まとも?な研究員の次男レイは、人付き合いはしないロボットオタク。
バラバラだった三人が母の残した小さな家で暮らしはじめるが…、そこには愛猫センセーと、亡くなった母が一年前に日本から引き取って同居させてる祖母?ばーちゃんもいた。
日本人キャストは、このばーちゃんを演じるもたいまさこさん、ただ一人。
セリフもすべて英語。というか、もたいさんのばーちゃんは、たった1回しか喋らない!?
引きこもり、ロボットオタクと日本人的キャラをカナダ人の若手俳優たちが演じているのが、楽しい。
その他、日本的趣味がいたるところに出てくる。
保護者だった母を亡くして一番ショックを受けてたモーリーは、ばーちゃんとの交流で(言葉は通じなくても思いは伝わる)かつて挫折して二度と触れられなかったピアノを弾くことができるようになる。
そして、コンクールにも出場。
個人主義で、妹リサから冷血と罵られていたレイも、ばーちゃんと生活するうちに、兄妹・家族の絆を深めていく。
タイトルのトイレットには、レイのばーちゃんへの優しさも込められている。
ライトに小気味よく響く、草食系映画
荻上監督アレルギーの人は多いだろう。「かもめ食堂」「めがね」など、“クセがある”というイメージが先行してしまうのである。
だけどこの「トイレット」は想像以上にシンプル。舞台・キャストが北米という新しいチャレンジがあるし、描くのはある家族の普遍的な物語。そこまで奇をてらってこない。
いつもの荻上カラーが好みの人には少し物足りないかもしれない。だけど監督のやりたいことはきっちり盛りこまれてるし、必死にそのバランスをとっている気がする。
そのバランスの結果、ちょっと元気をもらえたり笑えるたりするのだが、良くも悪くもそれ以上迫ってくるものはない。ライトに小気味よく響く、草食系映画。もちろん、それが悪いことではないんだけどね。
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