「手作り餃子が死ぬほどうまい」トイレット えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)
手作り餃子が死ぬほどうまい
母親がこの世を去り、兄妹3人と英語の通じない日本人のばあちゃん、それにネコが遺されることとなった。
いつも二階の窓際に座ってネコを愛でるばあちゃんは、英語ができない、見たこともないミシンを直す、長いトイレから出て深いため息をつく、日本の代名詞であるすしを食べない、手作り餃子が死ぬほどうまい、といった数々の"神秘的な奇跡"を巻き起こす。
それによって、不格好だがばあちゃんと3兄妹との対話が生まれ、それぞれの営みが徐々に変容し、チューニングされていく。あほみたいに深読みな気がするが、そんな様は、どこか、イエスと信者とのやり取りのような、キリスト教的世界を思わせる。
言葉が通じなかろうが、本当に血がつながっているか怪しかろうが、背中を押してくれる存在は大切。でも、ラストシーンが象徴するように、その存在はとてもニヒル。だから人間は、人生は面白い。
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