劇場公開日 2010年10月16日

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「いいじゃありませんか、人間ドラマなんてなくったって・・・」エクスペンダブルズ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0いいじゃありませんか、人間ドラマなんてなくったって・・・

2010年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 重厚なアクションの連続、そしてあり得ない超豪華キャストの顔合わせに大感激しました。カメオ出演ながら、スターローンとシュワルツェネッガーとブルースが一つの画面に収まって演技しているところなんて、奇跡ですよ。シュワちゃん退場時には、「あいつは何者だ、大統領でも目指すつもりなのか」というスターローンの台詞のおまけ付き。これには試写会場が大爆笑でしたね。

 アクションも人質救出戦、銃撃戦、カーチェイス、個別肉弾戦、連続爆破など、ありとあらゆるアクションが、次から次へと展開。スターローン監督にとっては、これまでの自らの戦争アクション出演作の集大成といっても過言ではありません。
 ラストの僅か5名の傭兵チームで、数百もの独裁政権軍を蹴散らす様は圧巻。『十三人の刺客』が13人対300人ですから、その上をいくスピーディーでスリリングなアクションシーンに目が釘付けとなりました。少数が大勢の敵をなぎ倒すところは、『ランボー』を彷彿させる、スターローン監督のお家芸のようなものでしょうね

 「特攻野郎Aチーム」と同類と見る向きもあるようですが、見せ場のアクションシーンの多さと吹き飛ぶ火薬の物量において、遙かにスケールが違います。またアクションそのものも、ほとんどガチンコに近い対決シーンなのです。スタローンとスティーブ・オースティンとの格闘シーンなんか、オースティンが所属したWWEの試合を見ているかのような迫力でした。このシーンは、撮影中にスタローンの首の骨にヒビが入るケガを負ったのだそうです。それほどの気合いが入った、シーンでした。

こんだけのアクションスターに囲まれると、ジェット・リーが小僧扱いになるのですね。しかし小柄な彼も、オースティン相手にカンフーで見せ場を作っていましたよ。
個人的には、スタローンと並んでジェイソン・ステイサムの出番が多かったことが嬉しかったです。あのだみ声がいいんですよ。もちろんナイフの使い手として、アクションの方も魅せてくれました。

 すでに海外で鑑賞された方から、「ただのランボーの続編だった」と酷評されている本作です。まぁ、ストーリーのなかで、たった一人の女性のために、敵地に乗り込んでいくというところなど設定に荒いところは認めます。
 でもね、いいじゃあありませんか。人間ドラマがないなんて。これだけのアクションスターが雁首並べるだけでも奇跡ですよ。さらに、出ているだけでなく、お互いのメンツをかけてアクションを競い合っているのです。もうこうなったら、ストーリーなんてぶっ飛ばして、ガンガン独裁政権の連中に立ち向かわれせればいいのです。小難しい理屈を並べる評論家やブロガーは、トカトしましょう!

 ということで、今回は細かいストーリー解説は省略します。そんな作品じゃあないので。タイトルは「消耗品=使い捨て」を意味します。そんな覚悟でガンガン敵を殲滅する傭兵チームの活躍を描いた作品です。従って、チームについて、一切説明なし。もう冒頭から、いきなり緊迫したソマリアの武装海賊との人質救出戦に引き込んでいきます。その手並みの鮮やかなこと。
 そして次の仕事となった南米ヴィレーナ島の軍事独裁政権を壊滅作戦でも、序盤の偵察時に、挨拶代わりに独裁政権軍の上空にガソリンを雨を降らして、着火。一気に40名の兵士を殲滅するところは痛快でした。

 但し、例外的にチームの過去に触れるシーンはあります。それは元チームの主力メンバーであり、今は入墨師 となったトゥールの店でリーダーのロスと昔話を語り合うシーン。
 トゥールはミッキー・ロークが演じています。特にアクションはないのですが、彼がいるだけで、チームがいろんな修羅場をくぐってきたのだなという雰囲気が濃厚に漂います。凄い存在感で佇んでいるのです。スタローンとミッキーの台詞の掛けあいは、これはこれでいぶし銀のような味わいがあって、痺れました。

 ところで夢のようなキャストには続きの話があります。
 南米独裁国家の精鋭部隊の中には、「PRIDE」で活躍したブラジル出身の総合格闘家、ノゲイラ兄弟が出演しています。出演に至る経緯は「本物の肉弾戦にしたい」とのこだわりからスタローン監督自らノゲイラ兄弟の家に赴いてのオファーだったそうです。

 史上最高を目指すスタローン監督のどん欲さは、まだまだ本作でも充分でなく、こんな大物にも声をかけていたようです。

 なんとスティーヴン・セガールにカメオ出演を交渉し、ジャン=クロード・ヴァン・ダムにはスタローンが電話で直々に出演を依頼。他にもカート・ラッセルにも出演依頼して断られたそうです。こんなキャスティングが全部実現していたら、奇跡と言うほかありません。

 『エクスペンダブルズ』はチームとして、続いていくようなので、また続編で「夢の続き」をぜひ見たいものです。

流山の小地蔵