劇場公開日 2011年3月19日

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「笑ったもん勝ち!ってヤツです」漫才ギャング 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5笑ったもん勝ち!ってヤツです

2011年3月21日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

品川祐、『ドロップ』に続く監督第2作品目!
なあんて書いてみたけど、僕は品川祐があまり好きじゃないし(相方は好きだが)、
『ドロップ』も好きじゃない。
青春のガムシャラ感みたいなものは出ていたが、展開は一本調子で意外性も無いし、
何より冗長。自己満足で終わった映画という感は拭えなかった。

ところがところが今回は違った。

ほら、映画やドラマで時々あるけど、
全然笑えないギャグで観客が爆笑しているシーンとかあると背筋に寒気が走りません?
『爆笑オンエアバトル』なら120キロバトル位の点しか入らないような漫才や、
(知らない人は「キロバトルって何?」って感じだろうが)
『笑点』なら前半2分でネタ切れするような一発屋的漫才を披露する、
そういうイタい映画になってるんじゃないかと危惧した訳だ。
そもそも主演の佐藤隆太も上地雄輔もお笑い芸人じゃないし。

だが驚くなかれ、二人とも、ちゃんと漫才している!
流石にプロの漫才師ほどでは無くても、本物のお笑い番組に出てもいけるんじゃ?
って位に堂に入っております。
漫才だけでなく、会話シーンも漫才のような掛け合い。これは『ドロップ』
の時も同じだったが、前作がちっとも笑えなかったのに今回は笑える。
役者陣の笑いのスキルの差かしら。

逆に、お笑い芸人が役者として大挙出演しているが、こちらもそんなに不味くない。
主人公の元相方を演じた“ピース”綾部は一本調子だけど、
取立て屋を演じた宮川大輔なんて“本物”にしか見えない(笑)。
“千鳥”の大悟も、ちょっと異様な存在感があって良い感じ。

以下、不満点。
前半飛ばし過ぎて後半冗長。
あとクイック→スローの多用を始めとした映像演出もやかましい。
売れない芸人の生態を描く部分は生々しくて良いものの、物語はよくある話だし
御都合主義だし人物描写は薄味だし127分は長過ぎるし、
「こんなん映画じゃなくてお笑い番組じゃねえか」と怒る人は
間違い無くいるだろうなあ。

けど、笑える。
まあ僕の『笑える』は信用できないが、
若い女の子からおじさんに至るまで、
他の観客も皆クスクスと、時には声を上げて笑っていた。それも2時間ずっと!

何をもって映画を映画と呼ぶかは僕には分からないが、観終わってから
「ああ楽しかった」と明るい気分になって帰れる観客がいるなら、
そんな映画があったっていいじゃない。
気軽な気分でどーぞ。

<2011/3/20観賞>

浮遊きびなご