「迫力の88分間! 短尺を感じさせない高濃度エンタメ」アンダーワールド 覚醒 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
迫力の88分間! 短尺を感じさせない高濃度エンタメ
正直そんな思い入れのあるシリーズでも無いのであまり期待していなかったけど……
おお、予想外にアクション満載&快テンポでかなり楽しめました!
最近どうも疲れ気味で、重い映画にあまり食指が伸びない自分なのだが、
なかなかスカッと出来ましたよ。
シリーズ未見の方も、以下の点を押さえておけば何とかなるので、興味がおありならご鑑賞を。
①人類の目に触れぬ所で、ヴァンパイア(吸血鬼)とライカン(人狼)という
対立する2つの種族が存在していた。
②主人公セリーンはヴァンパイアの女戦士であるが、
ヴァンパイアとライカンの混血種である青年マイケルと恋に落ち、
なんやかんやで現在は両種族から追われる身である。
③2種族の存在はある人物によってこれまで隠蔽され、人類の目に触れる事は無かったが、
その人物は前作にて“退場”。結果、本作での“狩り”が人類によって開始された。
個人的な意見を言わせてもらうと、1、2作目は設定こそ凝っていたが、
それに見合った世界観の拡がりはあまり感じられない出来だった。
それにどうも展開が冗長で……(特に1作目)。
シリーズ4作目にあたる本作も、残念ながら壮大なスケールを感じる作りではないかな。
むしろヴァンパイア・ライカン共に社会的な“厚み”のようなものが感じられず、
(登場人物が多くない、明確な指導者クラスの人物がいない等が理由か)
“人間社会の裏に、もう2つの種族の社会が存在していた”
という世界観は更に狭まってしまった感がある。
だがそれを補って余りある高エンタメ性!
オープニングからラストまでノンストップ。
派手な爆破シーンやアクロバティックな銃撃・剣戟も満載。
一目で『こいつはヤバい!』と分かる敵の登場や
分かり易い対立構造もストレス無く観られて◎。
青と黒を基調とした映像も美しく、活劇的ケレン味たっぷりの
画作りと相まって、非常にステキな事になっておる。
とはいえアクション一辺倒ではなく、
セリーンとある少女との関連、ライカンの陰謀、続編への伏線など、
このハイテンポで語りたい物語がきっちり語られる点はなかなかのもの。
結果として、短尺ながらぎゅっと見所が濃縮された印象だ。
これだけきっちり詰め込んで88分とはねえ!
監督は佳作スリラー『シェルター』も手掛けた新鋭モンス・モーリンド。
本作の続きもだが、それ以上に彼の次回作が楽しみだったりする。
<2012/2/25鑑賞>