「今のタイミングで観ておくべき映画」ソーシャル・ネットワーク yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
今のタイミングで観ておくべき映画
デヴィッド・フィンチャー監督作品。
日本でも去年2010年末頃からブームの兆しが見え始めているSNSサイト「Facebook」の創設者、マーク・ザッカーバーグが主人公。いかにFacebookが生まれたか、最近Facebookをよく使うようになった自分としては、かなり興味があったので、公開日に観に行った。
Facebookは、現在会員数が209カ国でなんと「5億人」!!!!
これはSNSとしては恐るべき数字。1つの国と考えると、中国、インドに続き、3番目に多い人口になる。日本でも「300万人」を超え、まだまだ増える見込みだ。
日本のSNSとしては「mixi」が有名だが、会員数は「1200万人」ほど。国内のSNSとしてはかなり大きな数字だが、やはりFacebookは「英語」というツールが使われている差が大きい。mixiとの違いはこの英語だけって感じがする。そういう意味で、mixiはもったいない。今後拡大する余地が無いので。
閑話休題。。。
この映画は、Facebookが生まれた経緯が描かれている。
元々は「ハーバードコネクション」という、ハーバード大学内部での出会い系サイトというアイデアから始まったらしい。それを主人公のマーク・ザッカーバーグが発展させ、Facebookのベースを作った。
映画の中ではさらりと描かれていたが、やはり1~2ヶ月ほどでこの基礎システムを1人で作り上げたことが凄い。「ハーバードコネクション」の発案者に裁判で訴えられ、結局6900万ドル(約60億円)で和解したようだが、アイデアは全然たいしたことない。これほどの和解金を払うアイデアとは到底思えない。作った人がスゴイのだ。
なので、この映画の構成が、2つの訴えの示談の過程でFacebookの歴史(過去)を振り返る、という構成になっているのは正直退屈だった。1日目で22,000ほどのアクセス(・・結構低いと思うがw 2003年時っていう時代を感じさせるな。。)、ユーザ数が数百人だったFacebookが、何故ここまで広がったのか、その理由というかプロセスに私は興味があったので、そこにもっと焦点を当ててほしかったのだが。
1つ目の訴えの「アイデア盗用」なんて本当にどうでもいい話。ITの世界は「アイデア」より「作ったもの勝ち」の世界だ。しかも早いスピードで。だからこそ優秀なプログラマーが尊敬されるのだ。
しかし、2つ目の、共同創設者エドゥアルドとの争いは、明らかにザッカーバーグ側が悪い。最終的には和解した(金額非公開)ようだが、共にサイトを立ち上げ発展させた友人に対して、こんな仕打ちをするような人物に良い友達はできないだろう。
ザッカーバーグには「信念(理念)」が無い。プログラムを組みたいという目的だけ。だから「理念」を共有している人ではなく、ナップスターの創設者ショーンのような「利益」目的の人しか集まってこない・・ように映画を観て感じた。
よく似た成功例として「Google」があるが、そこがFacebookとGoogleの本質的に違うところ。現在「グーグル秘録」という本を読んでいるが、Googleの創設者サーゲイ・ブリンとラリー・ペイジは設立当初から理念が一貫している。「全ての情報をインデックス化する」、この理念を共有している。だからこそ今でもGoogleは輝きを保っている。
Facebookに理念は無い。どちらもサービスとして利用しているが、Google社には入りたいと思っても、Facebook社に入りたいと思わない(まぁ、mixiも同じだが・・)。
ザッカーバーグは、26歳にして資産69億ドル(約60億円)を保有する(・・理論値らしいけど)。しかし、これだけの資産を持っているのに、映画を観終わった後すごく不幸だと感じた。
それは、オタクだからでも、プログラマーだからでも、人付き合いが苦手で友達が少なそうだからでも無い。理念が無いまま若くしてこれだけの成功を収めた(収めてしまった)ザッカーバーグには、次につながる「夢(目標)」が無いように思えたので。。そういう意味で最後のシーンが印象的だった。
にして、あのバカ騒ぎというか、乱痴気騒ぎ、あれがシリコンバレーのIT業界の成功のゴールなんだろうか??何かバカみたいだが。。自由と無節操を履き違えてるように思える。正直、あれを目標にして何かを始めたい(起業したい)とは到底思わないなぁ。
同じ業界で働く身としては、いろんな意味で、後味の良い映画では無かった。
いずれにせよ、2011年は日本でFacebookが流行る元年になりそう。
ITに興味があろうが無かろうが、その年の初めにこの映画を観ておくのは、タイミングとしては最適。
何はともあれ、観た方が良い映画だ。