「『出来は良いけど好きになれない』という言い掛かり的レビューです」ベスト・キッド 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
『出来は良いけど好きになれない』という言い掛かり的レビューです
アニメ映画が続々公開されるサマーシーズン。
ここ数年まで『映画は生身の人間が動いてナンボ』という“生身”原理主義だった自分は、未だにアニメ映画となると躊躇してしまう人間なので、この季節はどうも観たい映画が少なくて困る。
それだけならまだ我慢できるが、『魔法使いの弟子』といい本作といい、この辺りじゃ吹替版しか上映してないってどーいうことよ!?
諸事情あるんだろうが、アニメも吹替も苦手な自分にゃちとツラい。
前置き長くなりましたが『ベストキッド』のレビューです。
実はこの映画、上のような極めて個人的事情で好きになれない点が多い。エンタメ映画としての出来はスコア4.0くらいかと思うが、個人的には2.0。間をとって3.0というワケ。
主役のジェイデン君は演技も達者だし、アクションも予想以上に頑張っている。いつもより影のあるJ・チェンも味があり、その演技に思わず泣かされる場面もある。
クライマックスを飾る武術会も手に汗握る迫力。ラストの大技、カッコいいですねー。
だけどねぇ……ここから先が不満点。殆んどイチャモンみたいな所もあるんで、テキトーに聞き流してくださいな。
その1:
J・ホーナーの音楽。実は僕、ディス・イズ・ハリウッドな感じバリバリの彼の音楽はかなりニガテ。『アバター』の時のもあまり好きではなかったのだが、今回は何故か特に耳障りに聞こえた。挿入歌がいかにも“当たり”そうなポップソングばかりだったせいかな。ザ・売れる映画!って感じがして、どうもね。
その2:
敵役の設定。自分より身体的に弱い人間をボコボコにして悦に入っているガキンチョを2時間も観るのは、あまり愉快とは言えない。その暴力に何か理由があるなら別だが、主人公を目の敵にする原因と思しい少女との関係は結局何の説明も為されないし、『単にヤな性格の奴だった』で済むのかと思いきや、あの取って付けたようなラストだ。主人公の正々堂々とした戦いぶりに感化された、ということなんだろうが……うー、なんかモヤモヤする。
あとは、主人公の母親が『中国は良い所ね』と執拗に息子に語る理由や、J・チェンとあの道場の師範の関係も、一筋縄ではいかない感情を匂わせてはいるが、中途半端にしか描かれない。
主人公の成長譚だけに的を絞ったとも言えるが、それで140分って尺取り過ぎじゃ……。
ハイ、ここで文字数制限ギリギリ。言い掛かり的レビュー終わり!
<2010/8/22鑑賞>