「どこまでも愚かでみっともない物語に感動させられるウルトラC」さんかく 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
どこまでも愚かでみっともない物語に感動させられるウルトラC
吉田恵輔監督は、人間の愚かしさをイジる意地の悪さと、その上で人のみっともなさを全肯定する優しさの合せ技を年々研ぎ澄ませているが、これは洗練よりも才気が勝っていた時代の作品であり、それでいて意地悪から優しさの転調がちゃんと成立していて、ブラックコメディとしてもみごとという前期吉田節の完成形を見た名作。吉田作品に出たいと直談判して『ミッシング』でその夢が実現した石原さとみが、吉田監督に注目するきっかけになったのがこの映画というのも納得というか当然というか。いま(2014年時点)となってはもう14年前の作品だが、吉田作品が気になった人には必ず観てほしい一本。余韻を含んだ物語の終わらせ方も最高。
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