「ツッコミ所満載の黙示録アクションホラー」レギオン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ツッコミ所満載の黙示録アクションホラー
人類を滅ぼすために天使の軍勢が襲い掛かるというストーリーだが、“レギオン”って悪魔の軍勢じゃなかったっけ?
と、タイトルからしてツッコミどころ満載のホラーアクション。
もうね、5分に一度の勢いでツッコミ所があるんですよ、この映画。
設定はかなり独特で面白いのだ。敵が怪物や悪魔でなく、人類を見放した神が送り込む天使であるというのがまず斬新。
人類の救世主となる赤ん坊を身籠ったヒロインを守るため、人類への愛を捨てきれない大天使ミカエルが戦うというのも面白い。
おまけに何の因果か、戦いの舞台は砂漠の真ん中にぽつりと建つガソリンスタンド。天使としての力を失ったミカエルと、スタンドに偶然立ち寄っていたフツーの人々が、天使の軍勢を相手にマシンガン片手に籠城戦を決め込むのだ。
ニューメキシコの寂れた空気は終末感に満ち満ちていているし、序盤の敵として登場するバアさんやアイスクリーム屋のお兄さんもヒジョーに気色悪く、戦いの火蓋が切って落とされるまでの導入部はなかなか期待させてくれる(なんか随所が『ターミネーター』っぽいのは御愛嬌)。
んが、どうも天使たちに勢いがない。一気に攻めればすぐ決着を付けられるはずなのに、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のゾンビ共のようにノロノロネチネチとしか攻めてこない。しかも咬む・切る・叩くと物凄く原始的な攻撃しかしないし……。殺る気があるのかね、君達は。
敵の頭として登場する大天使ガブリエルも然り。人間の造った兵器(銃や爆弾)には頼らないという天使なりのプライドなのかしら。その割には自動車はバリバリ使ってるし……。
まあそんなこと言ったら30分で映画が終わってしまう。ツッコミ所も含めて楽しめば良いが、籠城型サバイバルアクションとしての出来も見事とは言えない。ドラマとアクションの両方が中途半端なのだ。クセの強い素敵なキャラが揃っているのに、その魅力を描き切れていない。アクション演出にはなかなかキレがあるが(ガブリエル対ミカエルのバトルは見応えアリ)、前述のように敵がアグレッシブじゃないので今ひとつ緊迫感に欠ける。
うーむ、なんかほとんど褒めてないなぁ。だがB級ホラーアクションが好きな人なら結構楽しめるはずだ。怖さも薄めなので、友達とツッコミ入れながら観るといいかも。
ただ、神への信仰が重要な要素だけに宗教色は若干濃い。そういうのが苦手な人は、ちょっと注意。
<2010/5/22鑑賞>