劇場公開日 2010年6月12日

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クレイジー・ハートのレビュー・感想・評価

全26件中、21~26件目を表示

3.5演技と音楽は、素晴らしいものの脚本・演出面では、ブレイクの心の痛手を描ききっていません。

2010年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まずは本日の試写会ゲストの「ミスタークレイジーハート」こと泉谷しげるが生歌で、持ち歌の「春夏秋冬」を聞かせてくれたことがよかったです。作品の要素であるカントリー音楽は、アやっぱりピンと来ません。泉谷に言わせれば、アメリカの演歌なんだそうで、道理で主人公がどさ回りの営業している姿が演歌歌手のそれと似ておりました。

 普段聞き慣れないカントリーながらも、本作の音楽としては、最高の演出効果をもたらします。歌詞の意味は分からなくても、歌い手の魂の叫びが、主人公の孤独さを問わず語りに伝えてくれました。

 さて、ストーリーは至ってシンプル。カントリーシンガーのバッド・ブレイクが、失恋を通して、アルコール依存を断ち切り、その心の痛手を曲に綴ったら、その新曲が評価されて、シンガーとして再起の展望を掴むストーリー。
 ラブストーリーとしては、ハッピーエンドといえない切なさも感じさせます。けれども泉谷が言うように、年齢を重ねるごとにどん底から再起することは、大変にになっていくものです。本作で見せるバッド・ブレイクが再起する姿は、同じ境遇にあるものに、とても希望と勇気をもたらしてくれる作品ではないでしょうか。
 ノミネート5度目にして、念願の主演男優賞を射止めたジェフ・ブリッジスの枯れた演技も素晴らしかったです。

 けれども脚本・演出面では、ブレイクの心の痛手を描ききっていません。
 まずは、ブレイクの現状をもっと深刻に描くべきでした。
 落ちぶれたとはいえ、地方では暖かく迎えてくれるファンに囲まれる。そしてシンガーとしての仕事もそれなりにオファーは絶えず舞い込む。落ちぶれたとはいえまだまだブレイクのカントリーシンガーとしての人気は絶大にあったのです。あの『レスラー』のランディの悲惨さと比べれば、遙かに恵まれていると思います。

 そこが甘いので、ブレイクがなんでアルコール依存症に陥っているのか、ぴんと来ません。そして4度結婚し、離婚してきたことも、昔話として台詞でしか語られませんでした。離婚は、アルコール依存に繋がる重要な過去だけに、カットバックして描いて欲しかったです。

 地方を巡業すれば、およそ女に困ることはなかったブレイクですが、たまたま取材で知り合った記者ジーンには、本気で愛してしまうのです。ジーンが他の女性とどう違っていたのか説明不足です。偶然が重なって、あれよあれよと深い仲になっていきます。
 ただし画面から伺えるのは、ジーンもバツイチで、包容力のある女性であったことが、ブレイクの心を捉えたのでしょう。
 ブレイクがアルコール依存症と知っていても、飲酒を咎めたりはしませんでした。ただし、ジーンが宝物と思っている4歳の息子バディの前では、絶対飲まないでくれというこだわり以外は。
 ジーンのこのこだわりも何でそこだけ急に神経質になるのかよく分かりませんでした。普通なら、愛するブレイクの健康のために、飲酒自体をきつく禁止するところなのに、息子のことしかなぜか心配しないのです。
 バディとの仲の良さに気をよくしたジーンは、ブレイクに子守を任せます。まるで実の親子のように触れあう姿が微笑ましい。
 ブレイクにもバディと同じ頃に生き別れた息子がいたのです。ずっと忘れていたのに、バディといるうちに、思い出してしまったのでしょう。実の息子とは、電話だけのやりとりで終わってしまいましたが、ぜひここでも『レスラー』のように実の息子との再会シーンをいれて欲しかったです。

 ブレイクの酒癖の悪さが、子守をしていても発揮されて、しまいます。バディの前では絶対にお酒を飲まないでと強く念押しされているのにも関わらず、ブレイクはバディを連れて、バーに立ち寄り、ウィスキーを注文したしまうのです。さらに、僅かな隙を見のがして、バディを迷子にしてしまったのです。

 連絡を受けて駆けつけたジーンは、ブレイクを許さず絶交してしまいます。家に押しかけて許しを請うても、ドアを開けることはありませんでした。
 それにしても包容力のあるジーンが、たった一度の過ちで、心変わりしてしまうのは、ちょっとこれも説明不足です。

 傷心のブレイクは、その気持ちを唄に託そうとします、紛らすと言うよりも、歌わずにはいられなかったのでしょう。ここでやっと、『傷ついた者にしか、歌えない愛がある』というテーマに行き着きます。もう少し、ここに来るまでエピソードが長すぎ。演出的にブレイクが募らせる切なさを積み上げて、どうに憶しがたい絶望をどうして描かなかったのでしょう。それがあってこその、このうちのシーンなんだと思います。
 そこが弱いので、このクレイジーハートな気持ちを歌った唄が、シンガーとして再起していく希望に繋がるラストの感動も弱めることになりました。

 結局再起を中心とした、サクセスストーリーなのか。ラブストーリーなのか、中途半端な結末だと思います。演技や音楽は抜群なんですがね。

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流山の小地蔵

3.5しみじみカントリーを堪能する心地良さ

2010年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

全盛を誇ったアーティストやアスリート達が、行き詰ったり、落ちぶれて行ったりして、その才能ゆえの栄光と挫折はもろ刃の剣であったりするため、ドラッグにのめり込んだり、酒浸りになるという話は、現実でも物語の世界でもそこらじゅで目にするする光景ではあります。
本作は、落ちぶれて地方を転々としながら酒浸りの毎日を過ごすカントリー・ソングの往年のビッグスターの再生ストーリーです。
ミッキー・ローク主演の「レスラー」は同じ落ちぶれたレスリングのスターの悲しい生きざまに、言いようもなく心が痛む思いがしたにも関わらず、なにか心を打つものが残った気がしますが、本作でのストーリーは、どこか能天気のバッド・ブレイクっぷりが、あまり事態の深刻さを感じさせないし、アル中の中年の男と若いシングルマザーが突然恋に落ちる描写も浅くて、なにか置いてきぼりを食ったようでのめり込めなかった気がします。
しかしながら、バックで流れる音楽はとても郷愁をそそる、どこか懐かしいような心地良さがあって、ジェフ・ブリッジスの人柄が伝わって来るような演技にそこそこ満足させられる作品でした。

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sarah

3.0毛穴から吹き出る汗と酒と色気

2010年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

老いぼれながらモテまくりのシンガー、バッド・ブレイクが、なぜ(特別美人でもない)子持ちジャーナリストに特別な思いを抱くのか、そこが腑に落ちなくて、どうにも気持ちが入らなかった。

主演のジェフ・ブリッジスは、毛穴から汗と酒と色気がにじみ出ているようだった。

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brick lane

3.570年代に戻ったような懐かしいアメリカンカントリー

2010年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

寝られる

「ファビュラス・ベイカーボーイズ」のピアノマンとはすぐにわからなかった。あの頃もフェロモンむんむんだったが、年齢を重ねてもダンディなジェフ・ブリッグスです。この映画ではダンディというより、だらしなさがリアルすぎて、等身大を演じてるんじゃないかと思わせる。
良くも悪くもアメリカ人の心の底に流れるインデペンダント・スピリットを強く感じた。
60歳のうらぶれたどさ回りミュージシャンが4歳の子持ちシングルマザージーンとの出会いをきっかけに人間再生するストーリー。
ジーンとの会話から長年会っていない息子に電話をして拒絶される。アル中を克服しジーンに会いに行くが拒絶される。人生好転しないように見えるが友人や歌を聴いてくれる客に救われる。家族や彼女に頼らず1人で生きていくアメリカ人の心意気がカントリーミュージックをバックに静かに語られる。
最近見た邦画「春との旅」で、身内に老後を頼む日本人の話と比較して、メンタリティとの違いを感じた。

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snow2007

3.5爽やかテイストの「レスラー」カントリー・ミュージック版

2010年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

本作で自身初のオスカー像を獲得した名優ジェフ・ブリッジスは、小奇麗な紳士にもなれれば、小汚いカントリーシンガーにもなれるから頼もしい。共演のマギー・ギレンホールも、いわゆる美人じゃないけどとても魅力的。コリン・ファレルとロバート・デュバルの声も、想像以上にかっこいい。とにかくキャストが渋いのだ。

 ひとことで言うと、ミッキー・ロークの「レスラー」カントリー・ミュージック版のような感じ。「レスラー」よりかなり爽やかテイストだが。ジェフ・ブリッジスのだらしないビール腹や、酒に飲まれてしまうさまは、近所にいそうなダメオヤジという感じで、なんだか親近感がわく。バブル時代を謳歌した見栄っ張りの中年が、昔の感覚のまま浪費し破産していくような、現代日本でもありそうなお話である。

 なにより、一番の収穫はカントリー・ミュージックだった。はじめはまるで興味なかったのだけど、聞くとかなりかっこいい!しかもジェフ・ブリッジスとコリン・ファレル、かなり修行を積んだようでプロ顔負けの歌声を披露している。全編を彩る音楽がとても心地よい。なるほど、「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のT=ボーン・バーネットが音楽を手がけているのか。

 いまだに古き良きアメリカっていうと、うしろにカントリー・ミュージックが流れているイメージがあるんだな。

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ikuradon

3.0なつかしさを感じさせる映画

2010年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

1970代の映画を見ているような、なつかしさが全体的にただよう映画でした。
新鮮な感動を期待して観ると肩すかしを食うと思います。
物語はいたってシンプル、無駄なく変化なく、ほぼ想像通りに進みます。
ジェフ・ブリッジスはいい味出してるとは思いますが・・・、
ん~~~、今ひとつ、胸にしみいる「何か」を感じることができませんでした。

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kewpiemama