「変われるかもしれない。」クレイジー・ハート ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
変われるかもしれない。
名画座にて。
J・ブリッジスがアカデミー主演男優賞を獲得して、天を仰ぎ、
両親に感謝の言葉を捧げていたのがまだ記憶に新しいところ。。
確かに受賞も納得の演技だ。歌が上手い。ヘタレ具合もいい。
あの腹出し肉のぷよぷよ感、見事に57歳を体現していた。
弟子?のC・ファレルの歌の上手さにも驚いたが^^;
さすがにアチラの役者は何でもこなすヒトが多いなぁ。
観ているとM・ロークの「レスラー」が頭をよぎってしまう。
なんかよく似ているのだ。こちらはその、カントリー歌手版?
過去の栄光から離れ、それでもまだ細々と食いつないでいる。
地方に行けば往年のファンもいる。酒を飲んで歌うも何のその。
気付けば人気と引替えに置き去りにしてきた幸せも数多く、
とはいえ、今の生活を立て直す気合いもない。弟子からはまた
夢を見させろ!と言わんばかりの激励をされ、止められない酒
とは格闘の日々。こういうヒトは、そのまま堕落しながらそして…
と思っているところへ!ついに人生最後の華が訪れる^^;
こういうのって…中高年男性の「夢」ですかね。ひょっとして。。
女にモテる=すなわち枯れてない、ってことですもんね。
最後にもうひと華!!と思うのは、たぶん女性にもありますが。
娘ほど年の離れた女は可愛い。ついでにその子供も可愛い。
やっと生活に「目的意識」のようなものが芽生え、張りが出て、
毎日が楽しくなってくる。過去の離婚で苦しんだ彼女も、警戒
しつつ、だんだんと彼に惹かれていくが…。
ここでまた、訓示のように見えない文字が頭に浮かぶ。
「人間、そう簡単に変われるもんじゃない」
ですね^^;自分にも多々思い当たることが多いが、好きなもんは
当然やめられない、気を付けてもふとしたところで人間は堕ちる。
彼もまた、然り。。というわけで、さもありなんで元の木阿弥。
そうして…。ん?ところがここからが、ちょっと想像とは違った。
彼は大真面目に再生への道を歩むのである。もちろん当初は
女とよりを戻すため。という目的意識があってのことだったが…。
どんなヘタレでも、才能まではヘタれない。
失敗は数多くの後悔を生むけれど、可能性までは奪わない。
ずいぶん綺麗になっちゃってー!(爆)感のある彼にはなるが^^;
何かをきっかけに変わることができる!かもしれない!という
大いなる訓示が広大な景色の中に広がる…素晴らしいラスト。
(あちらはカントリーの人気が凄いんですね。日本だと演歌??)