「爽やかテイストの「レスラー」カントリー・ミュージック版」クレイジー・ハート ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)
爽やかテイストの「レスラー」カントリー・ミュージック版
本作で自身初のオスカー像を獲得した名優ジェフ・ブリッジスは、小奇麗な紳士にもなれれば、小汚いカントリーシンガーにもなれるから頼もしい。共演のマギー・ギレンホールも、いわゆる美人じゃないけどとても魅力的。コリン・ファレルとロバート・デュバルの声も、想像以上にかっこいい。とにかくキャストが渋いのだ。
ひとことで言うと、ミッキー・ロークの「レスラー」カントリー・ミュージック版のような感じ。「レスラー」よりかなり爽やかテイストだが。ジェフ・ブリッジスのだらしないビール腹や、酒に飲まれてしまうさまは、近所にいそうなダメオヤジという感じで、なんだか親近感がわく。バブル時代を謳歌した見栄っ張りの中年が、昔の感覚のまま浪費し破産していくような、現代日本でもありそうなお話である。
なにより、一番の収穫はカントリー・ミュージックだった。はじめはまるで興味なかったのだけど、聞くとかなりかっこいい!しかもジェフ・ブリッジスとコリン・ファレル、かなり修行を積んだようでプロ顔負けの歌声を披露している。全編を彩る音楽がとても心地よい。なるほど、「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のT=ボーン・バーネットが音楽を手がけているのか。
いまだに古き良きアメリカっていうと、うしろにカントリー・ミュージックが流れているイメージがあるんだな。
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