「「そこそこ」以上の作品を作る気持ちがないのだろうか?」オカンの嫁入り CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
「そこそこ」以上の作品を作る気持ちがないのだろうか?
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どうにも面白くない。そこそこ収まってるのに、面白くない。役者陣のなかでは、宮崎あおい、國村隼の演技が素晴らしい。他の役者もそれなり。だけど感動しない。こんな映画が、最近、本当に多い。
脚本が、それなりの出来でありながら、監督の演出による化学反応で大化けする可能性を秘めていないんじゃないか。脚本未読なので一方的な解釈だが、最初から「そこそこ」を目指して書かれている脚本のため、役者や監督が脚本を噛み砕いても、「そこそこ」までしか出来上がらないというようなことが、この映画でも起きているような気がする。
癌という病気が現代の日本人には避けて通れないほどポピュラーである以上、癌や死というモチーフを使うのは悪いわけではない。ただ、大事な人が癌になって、周囲の人間が立ち直る。そんな設定が、本作でも安易に使われてる。
例えば、主人公の娘は、ある事件をきっかけに電車に乗れないトラウマを抱える。電車である説明が甘い。男でも、自転車でも、外出でも、社会でもなく、なぜ電車なのか。その説明が甘いから、トラウマから立ち直るシークエンスに感動が起きない。死を前にした母親と一緒に電車に乗れて、ハイそうでしょう、ハイ良かったね、としか思えない。
今時、癌とか死という設定を使うだけでは、観客は納得しない。さらなる一捻りの展開がなければ、いつか見た物語の再生さんとしか感じられないのだ。
ということで、まあ、それなりという点数。このレビューを書くために、公開時以来で再見したが、3度目はないだろう。
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