川の底からこんにちはのレビュー・感想・評価
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シュールなショートコントの寄せ集め
突っ込みどころが多すぎて、何もいう気になれない映画。
シュールなショートコントの寄せ集めで、一貫性の無い散文的な作品。
多分、コメディなのだろうが、笑える所が一切無い。2009年は
個人的には人生のドン底だった時で、やっと兆しが見えだした時。しかし、この後、東日本大震災が色々な事を僕を襲った。しかし、人間がドン底のドン底を経験すると、感情の流れはこんな風に開き直る事は無い。演出家の演出だろうが、この女優さんは舞台の方が似合うと思うが。滑舌が良いと思うので。
そう言えばチェーフォフの『カモメ』に出ていたのは彼女だったのでは?
関東近郊のシジミの産地と言えば、多分僕の田舎だろうが、2009年の頃は中国産に押されて、産業として成立していない。
散骨は出来るが、骨として散布出来ない。完全な死体遺棄ななるので注意が必要。また、自治体によって、条例で規制されている。
どうやら、ロケ地は牛久沼の様だが、牛久沼ではシジミは取れない。
上京して5年目、5つ目の職場、5人目の彼氏
脱力系の主人公佐和子。夢もなく自分は“中の下”だと見下している。だから相手の男にも多くを求めない。自堕落な性格ではあるけれど、父が入院して、つきあってる健一がエコライフを求めて一緒に実家へと帰ることになった。
工場ではアクの強いおばちゃん従業員。佐和子が5年前に駆け落ちしたことをばらされて、健一もとまどう。そのうち、受注が減って経営もピンチであることを知らされ・・・おまけに健一は従業員の知美に誘われるまま東京へ行ってしまった。
プロットは魅力がない。葬式の際、おばちゃんたちのほとんどが社長と関係があった!なんて意味ないことだし(笑)。それよりも佐和子のキャラクターや台詞が面白い。監督と夫婦なんだから、彼女の良さを存分に引き出しているんだろう。
不思議な魅力のある映画です。
前半のぐずぐずが後半の発散をもり立てている上手い構成だと思った。その象徴が2パターンの社歌でしょう。それほどストーリーに大きな起伏はないので、シュールなフランス映画のような匂いです。
満島ひかりさん流石です。
頑張るしかないでしょ、中の下なんだから。
このセリフ好きです(*^_^*)!
ずっと昔にAKBの峯岸みなみちゃんが進めており
それから数年見ることなく久しぶりに借りてみたらびっくり…もっと早く見ればよかったかなー。
気付いたら、ぽろっと泣いていました。
不思議と元気が出る映画だと思います(*^_^*)
好きとか嫌いとかではなくもっと大切なもの
中の下と自分を蔑む主人公爽子が、父の無償の愛=娘のどこがいけないのだと、娘を捨てて逃げる健一に対して食らいつく、を受けて、それまでの自分で何が悪いのかと、素直にでも自分を信じて父の会社を必死に立て直すことに奔走する。
爽子のもとにかえってきた健一に対して
爽子が、好きとか嫌いとかではなくもっと大切なもの、があるじゃない、といってお母さん、お父さん、と叫ぶシーンは爽子が初めて自分を蔑まず素直に真実の愛を求めた叫びだったのではないか。
ただ作品は、ダメな人のオンパレードで、なぜか素直に笑うことができない自分がいた。
女の開き直りは怖い
「どうせ!中の下なんですから!」
満島ひかり主演最新作は、上京5年目。就職先5件目。彼氏5人目で、人生の目標まるで無し…と言う、若くして既に人生捨てたOLの奮闘記。
訳有りで捨てた田舎だったのに、父親の大病で何故か逆瘤付き状態での帰郷。狭い土地での噂話が胸を刺す。
若い女性に有りがちな、やる気の無さ。常にその場しのぎに終始する事で、「その内なんとかなるだろう…」と言った状況に持って行ってしまう。
結果として、自分の殻に閉じこもり。周りからの信頼を勝ち取る事等、全く有り得ない状況に追い込まれてしまう。
尤も周りからの信頼を得ようとは、もとより微塵も感じて等は居ないのは明白な女性なのだが…。
そんな女の子が、遂にやる気を発揮した時…。
“女の開き直り”
その時に一体何が起きるのか?
「頑張るしかないんですから!」
努力は女の又(股)の力と書く。
女が又の力を最大限に発揮した、その時。
男は只黙って付いて行くしか無くなってしまうのだった(笑)
登場人物1人1人には、奇妙な笑いが充満した人物設定が用意されており、極上のクスクス感を味わえる(笑)
加えて、幾重にも張り巡らされた、母親の存在を確認する脚本上の構成の妙で、ついつい時間を忘れさせられる。
特に、“開き直り宣言”(笑)を発令した後は、まさに映画本編が一気呵成に走りきってしまう。
その中に、僅かに流れ込む社会批判や地球温暖化問題。
それを声高に叫ぶ訳でも無く、単なる調味料程度に抑えているのが良い。
でも、地球の海水が急激に高くなってしまったら、シジミは採れなくなってしまうのかも知れない…。
だからこそ、先ずは出来る事から始めよう!
その為にも、先ずは全ての男はセーターを編む様に、努力をしよう。
そして母親に感謝をしよう。
本編は、最初から主人公の自然なセリフ廻しを始めとした、性格習慣に「解かる!解る!」と共感を与え。男に対するだらしない接し方には、少しながら苛々を募らせながら…。
そして最終的には、自分の姿を投影させられてしまう。
「私は違う!あんなんじゃ無い…第一あんなにビール飲まないし!」と(笑)
“いや!この主人公こそ貴方自身です”
初めての商業作品らしい石井監督ですが、極上のエンターテイメントに仕立て上げたこの手腕は、高く評価されるべきでしようね。
ラストの泣き笑いの場面は素晴らしかったなぁ〜(爆)
(2010年5月6日ユーロスペース/シアター2)
後ろ向きに前向き
観賞中3回泣きました。で、その倍くらい笑いました。
前半転がるようにどん底までいってからの後半の怒涛の上昇は見ていて気持ちが良かったです。
役者さん達の掛け合いは絶妙でとても面白く、泣き所にもきちんと自然な笑いを仕込んでくれるので泣き笑いになっちゃう事も多かったです。
ストーリーはしょうがないですよねが口癖の無気力なOL佐和子が中の下の人生なんだから頑張らないとダメだろう!と開き直って前向きになっていく、という感じ。
なんというかこの佐和子がとても魅力的です。演じる満島さんが凄く良かったのも勿論ですが、無気力で妥協癖がありローテンションの佐和子がバツイチ子持ちの健一(ダメ野郎)が逃げ出してから人が変ったようにカッコよくなる姿が凄く良い。開き直った女は強いと言う事なのでしょうか。父親のしじみ会社(傾きかけ)で手作りの歌(倒せ!倒せ!)を合唱しながら会社を立て直していく様子は笑えましたがとても素敵でした。会社が立て直って良かった!ご都合主義あっぱれ!
そんな佐和子の為に健一にカツラを犠牲にしてでも怒鳴ってくれた余命幾許もない父親と、口数少ないながらも佐和子に寄り添ってくれたすれ気味な健一の連れ子加代子、この二人もとんでもなく魅力的なんだからたまったもんじゃありません。もう三人で永遠に仲良く暮らして欲しかったです。お母さんもいますしね、逞しすぎる会社のおばちゃんたちが。しかしお父さんあっちの方元気過ぎだよ、肝硬変こじらせて死にかけだけど。(ほぼおばちゃん全員が父親とあれな関係だったのには笑いました。何その伏線回収)
全体を通して、お前らどうせどうしようもないんだから頑張らなきゃだめだろ!私だって頑張る!頑張れ!という熱いメッセージを映画から感じました。登場人物が全員本気でどうしようもないのでとてつもない説得力です。もう頷くしかありません。
印象に残ったシーンは
・う○こを捨てていた場所に咲いていた綺麗な花を父親に届ける佐和子(こう書くと嫌がらせみたいだ)
・父親と佐和子の河川敷散歩(俺の栄養で育ったしじみ売ってワンピース買えって、笑ったけど泣ける)
・健一に「佐和子の何が悪いんだ!」と怒鳴る父親(ぶっちゃけ佐和子も結構悪いよね)
・加代子に怯えられながらも一緒に寝る佐和子というか二人が仲良くなっていく流れ全部
・しじみ会社のおばちゃん達に大爆発する佐和子(圧巻)
・おばちゃん達と佐和子の大合唱(引く位説得力を持つ歌詞)
・死に際の父親の傍で叔父とカツラの話ばっかりする佐和子、そして頑張ってよと懸命に訴える佐和子(この映画笑い泣きさせ過ぎ)
・巨大スイカ
・おばちゃんたちの大暴露(あんたのお父さんが良い男だったからだよって言われても!)
・しじみ工場で手編みのセーターを握りしめ一人立ち尽くす健一(殴りたい)
・帰ってきた健一に父の遺骨を投げつける佐和子(全員で拾う姿がシュールだ)
特にラストシーンの健一に「あんたの事好きになりたかったんだよ!」と叫んだ佐和子にもらい泣きしました。
これからゆっくり好きになっていけたらいいねえ、と思いましたがそんなダメ野郎で良いのか本当にとも思います。
でも地球みたいにだんだんダメになっていくような、売れないおもちゃ開発して会社クビになっちゃうような、娘の加代子にも呆れられちゃうような、優柔不断で全く頼りにならない特技がダサいセーター編むくらいな、いいとこは優しいとこ?という中の下(下の下?)な健一を好きになれそうだったから佐和子もずっと一緒にいたのだと思うので、なんとか二人で頑張っていって欲しいです。
だけど絶対健一また浮気するよね、そんでまた帰ってくるよね。帰ってくるたびに佐和子と大きくなった加代子に色々投げつけられるのでしょうか。
エンドロールでにこにこ出来る映画は大好きなので☆5。中の下なんだから明日も頑張らないと、と後ろ向きに前向きになれる!そんな素敵な映画でした。
結婚したのも納得の見事にハマったギブアンドテイクっぷり
20代の監督さん(尊敬!)の作品ということで前から気になってました。なるほどこうくるか。私は好きです!
前半は本当に“気”がない映画w 後半はそのテイストをベースにしつつ“力”が加わる。口癖の「しょうがない」の響き方がだんだん変わってくる。
この着眼点を新鋭の若い石井さんが撮るのはすごく興味深かったです。ベテラン俳優さんたちも息子世代が考えたあんな台詞やこんな台詞を演じるのは面白かっただろうなー。
そしてこの作品をオンリーワンなものにしたのは主人公に満島ひかりさんを選んだことが大きいと思います。上手い下手じゃなく他のパッと思い付くような若手女優さんじゃこの雰囲気は出ない。適材適所という点では『愛のむきだし』より光ってました。
OL仲間も工場のみなさんもおばちゃんが最高にいい味出してるのは間違いないし、個性豊かな男性陣も外せないし、恋人のうざったさも加代子の可愛さも絶妙だったけどこの一番大事な味付けがなかったら凡作止まりだったかもと思うくらい。
無気力なのは自己防衛みたいなもので、前向きに開き直った人間ほど強くてかっこいい生き方はない。それは“中の下”だろうが上の上だろうが下の下だろうが同じでみんな“たいしたことない”しみんな素晴らしい。
そんな人間賛歌としてしっかり響いたのは石井夫婦タッグwだったからこそだと思います。監督のことはわからないけどきっとイメージ通りに仕上がったんだろうなあと感じました。“イメージ通り”ってたくさんの人でなにかを作る時なかなか難しいことだしましてやデビュー作でなんて本当に凄い。
【コメディ映画】として笑える場面は思ったよりなかったけど、「あたしは違う、あと月島さんも違う」が伏線だったのと、最後の「やっぱむかつく」と言って遺骨を投げるところ、それに「こらぁ!それ社長でしょうが!」と突っ込むところは、
泣きながら(お父さんが「俺が死んだらこの川に骨巻いてしじみの栄養になってでっかいしじみを取ってそれをパックに詰めて金儲けしてそれでお前ワンピースとか好きな物買え。似合うから」みたいなことを言うシーンがすごく好きだったので余計に)笑ってしまいましたw
人生、両親のことを改めて想う映画でした。
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